ポカンとな

@310na2mi

第1話

やられた。

そうゆうことか。


怒りでもない、悲しみでもない、そこにあるのは、、、


心がポカン。


結婚生活5年目にして発覚した夫の「裏切り」に、妻のリョウは宇宙に投げ出されたような感覚を味わった。


「さて、どうしようかな。」

自分でも驚くほど冷静に、その言葉が口から溢れた。

すぐ横では可愛い寝息をたてながら息子のテンがスヤスヤ気持ち良さそうにしている。

テンの腕にはお気に入りのスヌーピーのぬいぐるみが抱かれ、ちょうどスヌーピーの鼻にテンがチューをする形になっている。

テンとスヌーピーは同じぐらいの大きさで、まるで双子のように2人で仲良く眠っているのだ。


夫のテツが帰ってくるまではあと1時間はありそうだった。


リョウはそっと音を立てないようにテンの側を離れ、冷え切っているリビングのソファーに腰をかけ、テツの母親に電話をかけた。

スマホの画面をタップしている時には、リョウの目には涙が限界まで溜まっていて、顎を上げ唇を噛み流れ落ちないよう耐えるのが精一杯だった。画面なんて滲んで見えやしなかった。

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