プロローグ~始まり~

数分後、風呂から上がり、ドライヤーでおざなりに髪を乾かし、俺は制服のズボンをはき、ブレザーを羽織りワイシャツのボタンをつけたところで、ネクタイを締めつつ廊下に出た。


二三歩歩いたところで…


「ウオオオオオオ!!!」


ガチャガチャグチャ…、バッココココン!!


何かに躓いて俺は派手にコケて、床に顔面を強打する。


鼻を打った俺はしばらく体を左右に揺らして、寝転がりながら悶絶した。


躓いた何かは蹴りあげられ、空中でいろんな物を床にぶちまけながら、遠くへとすっ飛んでいった。


辺りには、ミニタブレットや教科書や筆箱の中身が散乱し、ひどく散らかってしまった。


「ウググヌヌヌヌ…」


その間で、痛みに悶える俺の傍に、不意にチョンチョンと軽やかに床を何か爪のようなもので弾く音が近づいてきて…


心配そうに、シルバー色の金属の鳥形のロボットが顔を覗き込んできた。


カラスくらいの大きさの鳥が、顔を見ていたので、俺は鼻から手を離すと、鳥に気を付けながら寝返りをうち顔を向けると、頭を撫でた。


どうやら俺の絶叫に反応して何事かと、来たようだった。


「ごめんよ。驚かせて…」


鳥は小首を傾げて、ピィー?と疑問な声で鳴いた。


「…心配しているのかい?」「気にするな、俺は大丈夫だ」


そう笑いかけると、鳥はピィーと口笛を吹くように鳴いた。


分かったよ。気を付けて!というような鳴き声に、俺はへへへっと苦笑すると…


半身を起こした。


そうして視線を巡らせて、散らかった廊下と、その数メートル先に裏返ったファスナーが開いた学生鞄を見つけると…


溜め息を吐いた。


ーー朝から面倒なことをした…


それと…


「間抜けだな…」「眼鏡かけ忘れていたなんて…」


間抜けな俺は、洗面台に眼鏡を忘れたあげく、見えにくい視界のまま歩き、廊下に置いてあった鞄に気づかずに、転んだようだ。


しかも、ファスナーが開いたようで、ものが撒き散らされていた。

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