第4話 --1章 仲秋 Ⅰ--

「……せぇーの」


大きく伸びをすると、暖かな感触が肘にあたった。


「ん……?」


腫れぼったいまぶたを開けて隣を見遣ると、目に白くぼんやりとした人のかたちが映る。


「んんー……」


ぼんやりとした何かが小さく寝言を漏らす。


「え? ええっ?」


私は飛び上がって後ずさりながら布団で眠る人間に目を凝らした。


一気に目が醒める。


それは、つやつやとして羨ましいほどに肌が白かった。


寒いのか長い手足を丸めた姿は、か弱き子犬のようだった。


私の寝間着を着ているが、丈や腰まわりは私よりよっぽど余裕があって、首元の隙間から見える肌には余分な脂肪は見当たらない。


誰なのか確認しようと恐る恐る顔を近づけると規則正しい寝息が聞こえて、何の警戒もないあどけない寝顔には思わず癒されてしまうような愛らしさがあった。


閉じたまぶたから伸びる睫毛は長くて、鼻すじも通っている。


広角の上がった唇などは思わず見とれてしまうほどだ。


これはなかなかの美少年だった。



そう、美少年だ。



ぱっと見たところ、とてもじゃないが20歳を超えてはいないように思われた。


それどころか15歳を過ぎているかどうかも怪しい。


……見れば見るほど、若い。


ほぼ無意識に少年の張りのあるピンク色の頬に触れようとして、はたと思いとどまった。


ゆっくりと目線を下ろして恐る恐る自分の姿を確認する。


パンツ一丁だった。


恐る恐るパンツをめくって確かめながら、私はしかと考える。


――なぜ私は見知らぬ少年とベッドを共にしているのだろうか、と。

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