社会が駅を作るのか、駅が社会をつくるのか

駅は本来、貨客を輸送するための移動手段の、あくまで中継点です。
だけど、それがこの作品の横浜駅は逆転していて、登場人物たちは本来鉄道で移動するような距離を、徒歩で移動しなければならない。
それは、どこまで行っても『横浜駅』内という皮肉。
駅の利用規約が社会の規範になったエキナカ、それを強制する自動改札や警察員たちは、不思議の国のアリスに出てくるトランプの兵士を連想させます。
横浜駅の外の世界よりも治安が良く住環境が整備されているが、生活は完全に駅に依存してしまっているところは、ある種のディストピア小説とも読めました。

ちょっと変わったSFを読みたい人にオススメです!