4話

「……雄二たちFクラスは私たちAクラスを絶対狙ってくる」

翌日の学校のSHRショートホームルームで霧島さんが断言した。

クラスの皆は「は?」といった感じでその台詞を聞いていた。

「……Fクラスには今姫路が居る。可能性はある」

「でも、Fクラス全体はそこまで危険視するほどではないんじゃないかな?」

そんな当然の疑問を学年次席の久保君がする。

「……宮下も言ってたけど、これは戦争。油断してたら寝首を掛かれる」

やめて霧島さん。勝手に俺が言ったこと引用しないで!皆の見る目が若干冷ややかになった気がする。あとものすごく恥ずかしい。

「……皆少し警戒しておいて」

霧島さんのいつも以上に真面目な雰囲気にクラス全員は頷くしかなかった。これがカリスマか……。


「そして、その日のうちにまたBクラスに宣戦布告ねぇ……」

また自習になった教室で呟く。

午前中に補給試験をしたとしても、早いな。今度の狙いは何だ?

「いいから貴方は数学の課題やりなさいよ。ただでさえ解くの遅いんだから」

おぅ、木下さん厳しいですね。

「ははは。ホントに宮下くんって得意教科以外Cクラス上位~Bクラス半ばってくらいなんだね」  

「……だからその3教科で点取ったって何回も言ったじゃん」

工藤さんの言葉に少し気弱に反応する。

「なら、僕に英語教えてよ。もう少し点伸ばしたいんだ」

あ~、英語かぁ~。あれはなぁ~

「というか宮下君って一年の頃、英語って普通だったわよね?なんでこんなに点が上がってるのよ?」

一年の時もクラスメイトだった木下さんの疑問ももっともだ。一年の頃は80~90点くらいで停滞していた。

悪くはないが、普通の400点オーバーの人はコンスタントに95~100点は取る。

だが、それは一年の100満点のテストなら、だ。

「まぁ二年のテストのシステムだから400点が取れるんだ」

二人が??を浮かべている

「だから、得意な長文読解で点稼いで、後はテキトー。それを何回か繰り返すってこと」

自慢ではないが英文を読む速度はそこそこ早いつもりだ。

「はぁ~~~!!」

「なんで時間掛かる読解問題を400点取れるまで繰り返せるのかな?」

「それで何で文法問題無視するのよ!」

矢継ぎ早に二人からツッコミが来る。

まぁそうだろう、自分でも自覚してる。

これは俺が海外の英文軍事資料を読んだり、外人とチャットしたりして身に着けた速読スキルを使っているのだが、残念ながら読めても書けない。

外人の英文は、日本人の日本語同様結構文法はハチャメチャなのだ。

書けても文法ガン無視の『伝わればいいよね』英文だし、話せてもこれまた『伝わればいいよね』英会話だ。

もちろん高1クラスの文法は理解してるよ。

…二人ほどではないだろうけど…

「だから、総合的には多分二人のほうが英語できるよ」

「「………」」

頼むからジト目で呆れないで。


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