おじさんは、ガラケーを“パカパカ”と呼んでいたんだ

センスの滲み出るコピーに惹かれ、一気に読み切ってしまいました。
気づいたら朝5時半。

読みやすく、情景が思い浮かべやすい文体のおかげで、物語へ没入することができました。

ぼくはミステリを推理しながら読むことがないので、トリックの巧拙についてはよくわからないのですが、単純に青春モノとして見ても面白い。

ぼく自身は女子高生だったことはないし、これからなることもないのでアレなんですけど、鮎の敷島に対する微妙な感情の揺れが丁寧な文体で表現されていて、もう本当にアレでした。
戻りたい、青春に。

これは作者が狙ったことかどうかはわからないんですけど、この「あまずっぺぇ〜」みたいなの、二人の持つ時代遅れの“ケータイ”のせいもあると思うんですよね。
ぼくたちおじさんは、高校時代携帯っつうとアレでしたもんね。パカパカ。懐かしい。

そういうわけで、ぜひとも青春を失った30代前後のくたびれた大人たちにこそ、この作品をお勧めしたい。
ぼくはそう思います。

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