没0001から0100まで

Num.0001 ID0003

朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足。深夜には翼が生え夜明けには電柱を抱いて寝ている。ネクタイはハチマキになり名刺はロボットになり眼鏡はアリを焼くレンズとなる。週に一度だけ夜に8本足になり日曜日の昼には4本足になる。稀に日曜日の夜に16本足になる。そんな人さ。


Num.0002 ID0007

如何ほどの文字列が流れようともまたどれだけの絵が流れようとも行き着く場所などなく、ただ漂うばかり。これが海を漂う枯れ木なら砂浜に辿り着くかあるいは光も届かぬ海の底で朽ちるか。いずれにせよ辿り着く場所を最期に見付ける事ができるだろう。だが私達の文章は……。


Num.0003 ID0009

私は右目と左目で見えるものが違う。変な話ではない。ガチャ目……右目と左目の視力に差があるのだ。左目はそれでもそれなりの視力はあるが右目の視力はかなり低い。当然、ものの見え方も違ってくる。自分の目でも差ができるのだ。他人の目で見たらその差が広がっても不思議はない。


Num.0004 ID0011

心を引き裂く魔物を前になす術もない。近づけば避けられ空かされ踏み込めばカウンターで反撃。ならばと逃げようにも足が動かない。たとえ逃げ出せたとしても簡単に回り込まれすぐに捕まる。ペンは折れ手紙は破れメールは出せず電話もできない。なのに同じ屋根の下にあなたがいる。


Num.0005 ID0017

一番くじを引いていた人がいた。横目で観察。5枚引くのを4回繰り返して店から出ていったので20枚かと思って突っ立ってたら戻ってきたので再度観察。5枚引くのを3回繰り返してその後1枚ずつを3回。計38枚。×800円。「君は僕を笑うかい?」彼にそう問われた気がした。


Num.0006 ID0020

「月よりキミの方がキレイだよ。その深遠の瞳。月明かりに照らされてキラキラと光る白い肌。輪郭は美しい曲線を描いていて思わず撫でたくなるよ。そして何と言っても際立つのは、微笑んだそのターンエーの唇。恥ずかしげに視線をそらさないで、ほら、ボクを見るんだ」(゜∀゜)


Num.0007 ID0022

「自らの存在を賭けて戦わねばならない敵が現れた時、殺すか、死ぬかという選択を迫られる。その時、死ぬ選択ができるようになる為にはどう生きればいいのか」「私は嫌だぞ。お前を殺されるくらいなら。けどそんな敵いるのか?」「目の前にひとり」「……」「つまり俺が死ぬの?」


Num.0008 ID0025

手に負えず足でも追えない。終える事もなくひたすらに続けている。何が駆り立てるのかと問えばそこにあるのは空虚な心とそれを埋めようとする意志。拾い集めた言葉の断片を隙間に詰め込んで誤魔化そうとしている。虚無ではないと。空っぽではないと。独りではないと。だが……。


Num.0009 ID0029

タイムラインは川だ。流れは様々。速いところも遅いところもある。流れる水は幾重にも折れ曲がり繋がり別れやがては過ぎ去る。だが途絶える事はなくすぐに次がくる。そこに私達は色を落とす。それが濃くとも薄くとも流れに混じり川は濁る。それをどうするかは川の管理人次第か。


Num.0010 ID0032

『131文字に籠められた思いは様々だとしても集う場所は同じ。流す場所は同じ。気まぐれに文字を流し他を押し流す。すると次々に流される文字に自分が流される。代謝。人ならば次第に機能が低下し命が尽きるが川は水が枯れない限り尽きない』彼は嘲笑うように蛇口を閉めた。


Num.0011 ID0033

テーブルの上にあったバナナの皮を剥いたらでてきたポップコーンをポリポリ食べていたハムスターがじゃれている猫の尻尾に絡まっている紐を引っ張ったら部屋の灯りが消えて夜になったので押し入れを開けて外に出ると街の屋根はみんなコンニャクになっていて歩き辛い現実、3人前で。


Num.0012 ID0034

伊達巻のタイトスカートに昆布のチューブトップ。指輪は栗きんとんでピアスは黒豆。きめ細かく滑らかな餅肌。小さな金柑の髪飾り。かまぼこの下駄。なますの腰みの。伊勢海老のレーッドロブスター♪ こんにゃくの陰部と数の子の膣内。鯛の尾頭付き空から女の子セット。


Num.0013 ID0037

人を物だと言っているのに物を人だと言っている。つまり他人とは人権を持つ物だという結論……? いや違う。そうではなくて他人は物であるけれどその物に対してしてはいけない行動がある。その禁を破ると理由は分からないが罰を受ける。ただしバレなければ大丈夫。これが擬人化か。


Num.0014 ID0040

夕暮れに鳴り響いた警鐘は誰もが耳を塞ぎたくなるような大きな音だったのに、誰も耳を塞いでいなかった。これからくる夜に怯えているのは僕らのような野良猫だけだ。だけど別に夜に怯えているわけじゃない。本当に怖いのは駆除にくる同じ姿をした何か。相互理解を必要としない何か。


Num.0015 ID0043

ジブラルタル海峡を渡り辿り着いた天竺は場末のパエリア屋だった。お供の犬にバターを塗った金属を投げるイバラ姫は魔女狩りに出された蝋燭に赤い絵を描く人魚を星の王子から救い出したがイカダのジョナサンは難破してしまった。次回。ランゲルハンス島からの脱出。ご期待ください。


Num.0016 ID0050

おや。久方ぶりにお顔を拝見。どんな具合で調子はどうだね。まあまあそうそう怖い顔なさるな。眉間のシワが割れて脳が御披露目されてますぞ。ストローを突き刺していただきましょうか。ちゅうちゅう、と。御馳走様。なかなかにクセのある味わいで御座いましたな。ではごきげんよう。


Num.0017 ID0052

親指小僧との指相撲対決に勝ち小僧の指の骨を全て遊びで折ったイバラ姫は島からの脱出に成功した。しかし人魚に赤で絵を描く蝋燭の罠にかかり人魚共々捕まってしまう。地下室に幽閉された姫と人魚の前に現れたゴンギツネは汚く笑うのだった。次回。赤い蝋燭と悲鳴。ご期待ください。


Num.0018 ID0055

変態狐を溺死させた狸は十日間監禁、凌辱されていたイバラ姫と人魚を救い出したが猟師に鉄砲で撃たれてしまった。早速鍋。睾丸を丸飲みする人魚と通りかかった雪女の口に無理矢理押し込んで遊ぶイバラ姫は久し振りの食事で英気を養うのだった。次回。雪女の海水浴。ご期待ください。


Num.0019 ID0071

イバラ姫と人魚に玩具にされた雪女は正気を失ってしまったが姫と人魚の体に力は戻った。そんなふたりの前に現れた裸の王子様。彼に一目惚れした人魚が声を出すと彼女は泡になって消えてしまった。王子を海に沈めて人魚を弔うイバラ姫。その目には……。次回。泡沫。ご期待ください。


Num.0020 ID0075

近付くモノを何もかも傷付けてしまうイバラ姫にとって村を壊滅させた人魚はお互いに傷付け合える友だったが彼女はもういない。傷心のイバラ姫は氷の女王の噂を聞いて北へ向かう。たまに犬になった雪女にイバラを突っ込むが気分が晴れる事はなかった。次回。傷。ご期待ください。


Num.0021 ID0078

北へ向かうイバラ姫と雪女に立ち塞がったのはツバメに乗った一寸法師。イバラ姫を足止めする為に金メッキ王子像が放った希望だったがイバラ姫の一撃であっさり地に落ちた。しかし瀕死の一寸法師が行った最期の突撃が奇跡を起こす。次回。針剣士のハリケーン。ご期待ください。


Num.0022 ID0082

一寸法師の巻き起こしたハリケーンによって吹き飛ばされたツバメはどこかの家に落ちそこに住んでいたおばあさんに舌を切られ絶命した。ツタの壁で攻撃を防いだイバラ姫は雪女を引き連れ街へ到達すると金メッキ王子像を凍らせ粉々に砕くのだった。次回。氷結イバラ。ご期待ください。


Num.0023 ID0084

光より速いものがあるとするならば、それは愛である。時間に左右されず不変であり神のみが扱う事のできるもの。人は神の姿を模倣して作られたがそれは姿だけではない。持つものも模倣された。だが神のみが持つ事のできるものを人が持つ事もできるはずもない。だからこその愛。


Num.0024 ID0085

街をイバラと氷で壊滅させたふたりの行く手を遮るアラビアンナイト。空挺旅団による魔法の絨毯爆撃で殲滅を試みるが氷とイバラの盾に阻まれる。だがふたりをその場に磔にできた。このまま物量で押し切る策に対してイバラ姫に打つ手はあるのか。次回。渇き飢えた姫。ご期待ください。


Num.0025 ID0087

渇きと飢えで倒れたイバラ姫を守る雪女の氷の盾だったがアラビアンナイトの猛攻に耐えきれずに破壊されてしまう。倒れたふたりの女を取り囲む男達。中には勃起したまま歩き服で擦れ刺激で既に射精している者もいた。だが勃起は収まっていない。次回。メスの臭い。ご期待ください。


Num.0026 ID0089

何もかもを凍り付かせその地に降り立った氷の女王。目の前には精液の海で窒息死しかけているイバラ姫がいた。口に鼻に穴という穴に精液が注がれ呼吸ができず吐き出す力も残っていない。氷の女王はイバラ姫と雪女を救い城へ連れ帰るのだった。次回。イバラの呪い。ご期待ください。


Num.0027 ID0091

ついに明かされたイバラ姫にかけられた呪いの正体。それは男の五感全てを刺激し欲望を暴走させ理性を失わせてしまう強力な色欲の呪い。その為イバラ姫は物心つく前から男に犯されていた。その事実を知った氷の女王は魔女への道を示すのだった。次回。王国の魔女。ご期待ください。


Num.0028 ID0094

折れた首の骨が治ったイバラ姫は氷の女王に聞いた王国へやってきた。雪女は氷の女王に預け今はひとり。強姦魔共を殺して進もうとしていたが城下町の男達はイバラ姫を見ても理性を失わなかった。城に到着したイバラ姫は王国の魔女に出会う。次回。サンドリヨン。ご期待ください。


Num.0029 ID0095

ゲームもテレビも小説もマンガも野球もドライブもラーメン屋巡りも空き缶集めも全部同じ。更に言えばお前のその小理屈捏ねて他人を蔑むのも同じ。ただの趣味だよ。しかし空き缶集めしている人の方が自分の趣味は他人にはどうでもいい事を理解している分、お前より遥かにマシ。


Num.0030 ID0096

王国の魔女は王国の王妃サンドリヨンだった。サンドリヨンはイバラ姫に呪いを解いて力を失う姫の道と呪いを受けたまま力を得る魔女の道、ふたつの道を示した。悩み氷の女王の城に戻るイバラ姫。その帰路で待ち受ける新たな刺客とは一体。次回。星屑龍使いの蟹。ご期待ください。


Num.0031 ID0097

星屑龍使いの蟹はイバラ姫の境遇を知っていた。だからこそ蟹は自らを犠牲にしてでもイバラ姫の心を救おうと必死で戦い倒れた。その姿に心を打たれたイバラ姫だったが倒れた蟹は助けにきた仲間が連れ去っていった。一枚のカードを残して。次回。目覚めし巨人の進撃。ご期待ください。


Num.0032 ID0099

イバラ姫を排除する為に現れた三年寝太郎は地上の全てを凪ぎ払い氷の女王の城に向かう。後にはピノキオ機甲兵団が続く。空には怪鳥グライフを筆頭に大量のキジとツルが飛び交う。女王の城に急いで戻るイバラ姫だったが既に攻撃は始まっていた。次回。溶けゆく城。ご期待ください。


Num.0033 ID0100

救援に駆けつけたトランプ兵団はピノキオ機甲兵団の圧倒的な火力に対し籠城しての防戦で精一杯だった。打ち出の小鎚の力により巨大化した三年寝太郎を倒す為に氷の女王が契約した赤ずきんとアリスは果たして寝太郎を止められるのだろうか。次回。死んでくれる? ご期待ください。


Num.0034 ID0102

寝太郎を巨大化させていた小鎚は赤ずきんの最期の一撃により破壊されアリスの盟友リリの特攻により寝太郎は爆殺された。だが陸と空からの波状攻撃により女王の城は陥落寸前だった。そして氷の女王はついに追い詰められてしまった。次回。駆けつけるは予期せぬ友。ご期待ください。


Num.0035 ID0103

追い詰められた氷の女王へのとどめの一撃を弾いたのは乙姫の槍だった。乙姫はその力で城と海を繋ぎ大量の海水を流して城から敵を押し流した。更に氷の女王は海水を凍らせ溶けた城を再生し敵の侵入を防ぐ。だが依然として城は囲まれたままだった。次回。反撃の狼煙。ご期待ください。


Num.0036 ID0104

100を超えたけれどたったの13100文字しか書いてない。1000は書かないと束にはならないという事か。それだけ書いたら何をテーマにしたか忘れてしまう事だろう。テーマが重複するのはいいが内容まで同じになると困る。誰も気が付かない? 自分が気付くんだっての。


Num.0037 ID0110

成功させた二階から目薬をぬるげー扱いされ煽りに煽られて最終的には八景島シーパラダイスのジェットコースターから目薬ということわざを実践する事になった生主。なんとか計画を立て作戦実行。イカダに乗りプカプカ浮いているとコースターから落ちてきたのはNGコメントだった。


Num.0038 ID0111

ガリガリガリガリ削ってく。余計なものを削ぎ落とす。ひとつ削ればふたつ削れる。ふたつ削れば全て削れる。あれも要らないこれも要らない。必要だと思って必死で集めてきたそれはひとつ手に入れると全てが必要になるものだった。集めるか集めないか。選べるのはそれだけ。ガリガリ。


Num.0039 ID0112

ことわざってちょー便利。もうネタの宝庫。でもことわざってそれ自体が洗練された小説。それをネタに131文字もだらだら書く時点で増えるわかめ気分。増えるわかめなら水分吸った方が美味しくいただけるけど水膨れの小説は不味い。なら辞めちゃえって? 分かってないなぁ。ねぇ?


Num.0040 ID0116

約束は全て神聖なもの。裏切りは聖なるものへの冒涜。許してはいけない。それが誰と誰の間に交わされたものでも変わらない。約束には全て平等の重さがある。だからこそ受け取るべきではなかった。開けるべきではなかった。そうすれば老人にならず神の座に迎えられたものを。文筆・亀


Num.0041 ID0117

何がどうだめなのか理由や根拠を明確に書かない人多いね。レベルが低いだってさ。びっくりするね。お前のレベルってのはどういう基準でどういう力と方向を持っているのかこっちは分からないからさぁ。んで140文字制限に逃げやがる。何かあったらツイッターのせい。わーすごーい。


Num.0042 ID0118

コピペツイートについて。誰かが考えたオリジナルがコピペbotを経由する事で簡単に著作権フリーのネタになる。そして「ネット上では常に新しいものが元祖となる」現象を考慮するとコピペを元祖としてオリジナルが作られたパラドクスが発生する。日刊パクフリー大好評発売中。


Num.0043 ID0119

プロなら期日内に書き上げなければならない制約の下、制限時間にも意味はあるかもしれない。だけど私達には制限時間などない。あるとしたら死ぬまでという漠然としたものだ。その中でわざわざ制限時間設けて不完全な小説読まされる『読者』の気持ちとか考えた上での即興小説です。


Num.0044 ID0120

この毎秒新しい物語が綴られる飽食の時代に私の文章などを読んでくれる人に向けては納得したものを提供したい。私の文章力が及ばなかったり前に書いたものだから今以下という言い訳はあっても今の全力を尽くしたい、とは思う。問題は誰にも読まれていない事だけど棚上げ棚上げ。


Num.0045 ID0121

読解力がないのに自分の文章は短くて足りない人が結構いる。という事は自分の文章は行間まで完璧に読んでほしいのに他人の文章は斜め読みって事か。ただという事は言葉を尽くして行間まで読み解くこうとする真逆の人もいるわけだからまあ星の王子ばかりではなくて良かった。


Num.0046 ID0123

氷の女王の城を取り囲むキノピオ機甲兵団に対して横から攻撃を仕掛けたイバラ姫。だが相手の圧倒的な兵の数に追い詰められてしまう。しかしその時を待っていたとばかりに現れた星屑竜と悪魔竜は密集していたキノピオ機甲兵団を消し炭にしていった。次回。桃の旗印。ご期待ください。


Num.0047 ID0124

星屑竜と悪魔竜が暴れる中、古代竜の力で護られたイバラ姫は敵陣に乗り込みついに敵将桃太郎と対峙した。犬、猿、雉と融合し獣人と化した桃太郎はイバラ姫に襲い掛かる。全力で応戦するイバラ姫。ふたりの戦いはどのような結末を迎えるのか。次回。桃太郎死す。ご期待ください。


Num.0048 ID0125

足を滑らせて顔から水溜まりに突っ込んだ桃太郎をそのままイバラで拘束するイバラ姫。動けない桃太郎は水溜まりで溺死した。大将を失った桃太郎隊は瓦解。各個撃破され戦いは終わった。その夜、氷の女王の城ではささやかな祝勝会が開かれた。次回。真夜中の決闘者。ご期待ください。


Num.0049 ID0126

遂に始まったイバラ姫と星屑竜使いの蟹の決闘。そのハサミでイバラ姫のイバラを切断しつつ星屑竜による攻撃を仕掛ける蟹。一方、イバラの盾で星屑竜の攻撃を凌ぐイバラ姫。体力も気力もお互いに尽き、それでもふたりは魂を燃やし死力を尽くす。次回。響き合う魂。ご期待ください。


Num.0050 ID0127

傷だらけの星屑竜が放った決死の一撃はイバラ姫のイバラの盾を貫き、イバラ姫の胸を貫いた。力尽き倒れるイバラ姫。気力を使い果たし魂まで燃やし尽くした星屑竜使いの蟹もまた力尽き倒れた。今やふたりの決闘の地には冷たい風が吹くだけだった。次回。夜明けまで。ご期待ください。


Num.0051 ID0128

決して目を離していた訳ではない。だがいつの間にか目の前に来ていた。初めから人の手に負える代物ではなかったのかもしれない。悪は人よりも速く走ると彼の人は言った。ならば悪意の込められた玉ならば同様に人よりも速く……あう。


Num.0052 ID0129

形を持たず天衣無縫な削り出しのつぎはぎだらけな鋳物であると同時に制約だらけで理路整然とした白紙に垂らした墨のような自明の理の素養を持つ。書きたければ書けばいい。拘る事などない。何千と書き続け最期にはその手で綴じればいい。実に単純明快で奥深いたった一文字の物語を → 。


Num.0053 ID0130

誰もが思い付く以上どう演出するかが大きな問題となる。金魚を見せるのに大きな水槽に入れるか金魚鉢に入れるか。はたまた串に刺して焼くか。光を当てて影を見せるか。男の人生を見せて最期にズームすると胃の中に金魚がいる。など。見せ方は様々。勿論、そのまま見せるのもアリだ。


Num.0054 ID0131

背中を丸めて座り込み膝を抱えて頭を下げる。力を抜いて丸くなりその体勢で転がってみた。ころころころころまるで車輪。だけど上手く転がれない。車輪のように丸くはなれない。傾き倒れて動けない。仕方がないから眠っちゃお。布団にくるまり伊達巻一丁。下駄に載せられへいおまち。


Num.0055 ID0136

ベンジャミンと名乗る全身紫イモタイツの紳士はプリン体を私の身体に注ぎ込むとどこかへ消えた。溶岩の川を渡ったホッピングも今となっては三途の川への招待状でしかない。ライ麦畑で佐渡おけさを一緒に踊ったアルジャーノンおじさんもホテル王になった。私はひとり穴を掘る日々だ。


Num.0056 ID0140

「麺を炒めたものなのに焼きそばとはこれ如何に」そんな冗談を言っていた係長もあの日を境に丸ごとバナナ工場へ出荷された。机の上には愛のない愛妻弁当が載ったまま。中身は既に空っぽだ。何もかも課長に美味しく頂かれてしまった。きっと今頃は立派なバナナ載せになったのだろう。


Num.0057 ID0147

閉じ込められ逃げ場はない。目の前には血走った目をしてこちらを睨む猛獣。吐き出す息は口から漏れた闘気か殺意か。誰かが突進を避けられず足を挫いて倒れる。その時ひとりの男が猛獣の前に颯爽と立ち塞がった。彼は人呼んで自惚れマタドール。猛獣の突進を華麗に喰らい宙を舞った。


Num.0058 ID0160

この物語はあなたの『正義のセンス』を問います。出題される問題に正解はありません。現実には決まりきった正解などないのです。正解が誤りになる事さえあります。どの選択をしても私はあなたを非難しません。よろしければご参加ください。あなたの正義を語ってみせてください。


Num.0059 ID0162

何度も何度も繰り返し聴いていたらテープは延びた。時折テープが絡まり傷つく。千切れてしまったテープを直す。ノイズが入るが仕方ない。回転速度が狂ったり動かなくなったりと幾つものプレイヤーを潰し続けた。今はデジタル化したけどやる事は同じ。何度も何度も繰り返し聴く。


Num.0060 ID0165

この日を迎えるとカサンドラの胸の苦しみは計り知れなかった事を痛感する。狼少年は見捨てられ羊だけが助けられたのは何故か。ソクラテスが死刑になったのは何故か。詐欺、殺害予告、滅びの預言、風説の流布、業務妨害、名誉毀損。免罪符を持たず冗談に殺す彼女の美しさこそ至純。


Num.0061 ID0167

4月1日はビジネス嘘の日。数日、数週間前から頑張って練りに練った嘘を提供してお客様に楽しんでいただく日で御座います。いわゆるファンサービスというものとお考えいただければ宜しいかと。楽しい嘘、悲しい嘘、よく分からない嘘。硬軟取り揃えて、皆様にお楽しみいただきます。


Num.0062 ID0168

心の底から本気にしてしまうのが一番いいと思う。まさか嘘だと分かっていて敢えて騙された振りをしてくれるのを期待しているなんて相手に依存しまくりの期待をしている訳ではないよね。私達の言語は一文字で生きる為の全ての意志疎通ができる程のものではないよ。だから化かし合え。


Num.0063 ID0169

「アウフヘーベンって何?」「スーパーサイヤ人」「弁証法って何?」「ピッコロと神様の辿った道」「ニヒリズムって何?」「セル」「ルサンチマンって何?」「ヤムチャ」「美的実存って何?」「ヤムチャ」「デカダンスって何?」「ヤムチャ」「ダス=マンって何?」「ヤムチャ」


Num.0064 ID0171

でもまあいいんだよ。嫌ならこちらがいなくなるのが世の常。嫌なんじゃなくて別段興味がないからいなくなっていただけだけど、いないなら同じ事。黙っていなくなろう。明日その場に引いてあったゴザがなくなっていても誰も気付きはしない。いつの間にか増えた1が減るだけの事。


Num.0065 ID0172

読んだ人間の内10人中2人も楽しませる事ができたなら、とんでもない天才作家だって。シェイクスピアですら及ばない遥かなる頂に始めから存在しているような化け物じゃん。この世の中には貴族も奴隷も右も左も情熱も虚無も社長もルンペンも娼婦もいるんだよ。何を読ませる気よ?


Num.0066 ID0174

触れる。指は感触を得て視覚は意味を読み取る。自在に動く指が触れる度に旅人は路を進む。時にけたたましく吼え、時に心地よいリズムを刻む。或いは沈黙。思い描いたイメージを上手く伝えられない事もある。怒りと憤りをぶつけてしまう事もある。くぁwせdrftgyふじこlp


Num.0067 ID0175

パソコン及び周辺機器には消耗品と呼ばれるものも多い。キーボードもそのひとつ。半年から一年で使い物にならなくなる。壊れ方としては特定のキーが反応してくれない、それとは逆に反応しっぱなしになる、液体まみれ、油で揚げられ衣がつく、芽が出て根付く、足と手が生える等……様々だ。


Num.0068 ID0176

4月4日はあんぱんでー。あんパンと言えばこしあんつぶあん桜の花ゴマ論争から競争にまで使われ聖女の大好物にして果ては生物化までされた愛すべき食べ物です。この日は小さな女の子が大きなあんパンを食べるのが好きな紳士が街頭であんパンを配ります。食べないようにしましょう。


Num.0069 ID0180

4月4日はよよ様の日です。突如飛来したよよ様は代々木で細々と暮らしていましたが千代田線の悪い心から生まれたちよすけに感化され魚屋で拾ったウロコを最新のコンタクトレンズと偽って売る詐欺を行い捕縛され代々木辺りの人に美味しく頂かれてしまいました。ふぅ……ご馳走さま。


Num.0070 ID0181

イバラ姫が目を醒ますとそこに在ったのは蟹の死体だった。驚愕し蟹に駆け寄るが既にその身体は冷たくなっていた。狼狽えるイバラ姫は傍に落ちていた柿に目をやると蟹の血がついていた。柿が蟹の命を奪った事に気付いたイバラ姫。そこに現れた雪女が。次回。蟹鍋。ご期待ください。


Num.0071 ID0182

雪女の提案により蟹の身を食べて英気を養ったイバラ姫だったが荒れ狂う怒りを抑える事ができず、力は暴走しそのイバラは周囲のもの全てに向けられた。氷の女王は暴走を止める為イバラ姫を氷漬けにする。凍り付いたイバラ姫に忍び寄る影がひとつ。次回。海の王。ご期待ください。


Num.0072 ID0183

祝勝会が終わりイバラ姫が暴れた氷の女王の城。その後片付けが済み共に戦った仲間達はそれぞれの場所に戻った。乙姫は凍り付いたイバラ姫を持ち帰り解凍。イバラ姫は海の底にある竜宮城に監禁され乙姫の寵愛を受ける事になったのだった。次回。嗜虐趣味の姫達。ご期待ください。


Num.0073 ID0184

乙姫の部屋に監禁されたイバラ姫が首輪をつけられ毎日弄ばれるようになって早三ヶ月。二日に一度の食事は僅かなパンの切れ端。毎日血を抜かれイバラ姫は身体を自由に動かせない程やつれ果てていた。だが乙姫の容赦のない責めは続くのだった……。次回。イキジゴク。ご期待ください。


Num.0074 ID0186

金の使用は自己責任だと逃げても広告塔になった事実は消えない。ペニーオークションだって有名人を使った。騙すつもりがあろうがなかろうが事実は変わらない。広めた事実は消えたりしない。よりによって支持者に毒を喰わせるとか、どうかしてる。恩に報いる為に恩を仇で返すか。


Num.0075 ID0190

乙姫に手足の神経を切断され動かなくなったイバラ姫。既に身体を動かす事などできはしない。噛む力さえ残ってはいない。食事は鼻にチューブを押し込まれ僅かな栄養を流し込まれる。監禁されてから半年。イバラ姫の心は壊死寸前だった。そして……。次回。奴隷化。ご期待ください。


Num.0076 ID0191

乙姫がイバラ姫に見せたのは蟹と人魚のまぐわう姿だった。そしてふたりの日常。乙姫は嘯く。ふたりで死ぬ芝居をうったのだと。否定するイバラ姫だが毎日の営みを見せられる内に心は絶望に支配され抵抗を止めた。遂に服従し奴隷となったイバラ姫。次回。憎悪と嫉妬。ご期待ください。


Num.0077 ID0199

もし願いが叶うのであればかつての行いを詫びたい。私には余裕がなかった。今でも余裕などありはしないがそれでも余白ならある。余白に書いて考えてみる。他人に誤解を与えるのであれば言葉を尽くす努力をすれば良かったのだ。それを怠った私が悪い。分かってないと言われるかな。


Num.0078 ID0200

1ヵ月前に作ったコミュが昨日なくなった。コミュ人数がひとりだと1ヶ月で強制解散になる。憐れ私のコミュは塵と消え跡には何も残らなかった。或いは痕には傷だけ残った。だがいい。身体についた傷痕なら他人に痛々しいと思われるかもしれないが心についた傷痕なら誰にも見えない。


Num.0079 ID0203

「嘘つきおじさんおーしえて。テレホンカードってなあに?」今で言うプリペイドカードの事じゃ。主にカード手裏剣に使われておっての。銭形平次から続く伝統としてお金を投げたいセキュリティがこれを投げてサテライトのクズのデコにサクッと突き刺さしたのは有名なMADじゃな。


Num.0080 ID0204

4月9日の出来事。フィンランドで開催された世界フラッシュモブ選手権で37連続優勝し上北沢の都市伝説と讃えられ歌やTシャツや尻毛バリカンまで作られグッズの売上は年間8円と言われる三好絵梨菓が決勝戦で遂に日本の森カドルに敗北しました。決め手はミラクルフルーツでした。


Num.0081 ID0205

セーリング落語家、清流亭濁がオホーツク海で行方不明になった。10日後、南氷洋で発見され生還したが濁はどこかおかしくなっていた。ヘソ占いと称して会った人全員のヘソを執拗に舐め回す奇癖は影を潜め、ソンブレロを被りトルティーヤを主食にするようになった。


Num.0082 ID0207

4月10日の出来事。千葉の端まで魔法★瓶を追い詰めたステンレスボトラーズは剥いた来武紗貴のボトルに爆弾を突き刺して突撃させたがドロリッツに躓いて無駄爆発に終わった。煙が消えるとそこに見えたのは逆さまの春本才架と彼女の魔法瓶に生けられた一本のポッキーだけだった。


Num.0083 ID0209

4月11日はガッツメートルデー。299792458分の1ガッツ秒の到達距離を1ガッツメートルとしたガッツメートル法が軽量法に加えられた日。これにより人から人に伝播する根性の量を他人との距離で量る事が可能となりスポーツ界では根性伝播のベクトル分析が流行した。


Num.0084 ID0216

4月11日の出来事。竹薮の中から現金1億4522万円分の5円チョコが入ったバッグが発見されました。発見者の元本家ユリアさんは捜査協力を拒否。現場の警察官が背中の後ろにちらっと見えた肌色のビニール製の何かについては不問にすると伝えると汗だくになり走り去りました。


Num.0085 ID0218

否定的な批判をしたいがあまり視野が狭くなって状況を予測できなくなる。その根源は自分が不当に扱われているというナルシズム。相手の事情よりも自分の事情が常に優先される。だから何も問題はない。相手も同様に自分を優先しているに過ぎない。過失と批判の友人関係ダイナミクス。


Num.0086 ID0221

やきそばと砂糖なしのクレープ生地を用意します。クレープ生地でやきそばを巻き寿司のように巻きます。片側はやきそばをはみ出させてください。はみ出していない方の端を中心に渦巻きのようにくるくると巻きます。そしてフライパンで焼いて完成。佐藤明機さんのアンモ焼き、疑似。


Num.0087 ID0222

その男、魚は何でも生で食べてしまうしみかんの皮も剥かず食べるほどに気が短い。ある日、その男。ヘビが蛙を丸飲みしているのを見て「おうこれだ」と思い付いた。早速その男、鶏が産んだばかりの卵を丸飲み。すると約三週間後、頭からぴよぴよと変な音がする。男が鏡を見ると……。


Num.0088 ID0223

正月前に餅をつこう。沢山作って鏡餅も飾ろう。しかし一番上に載せる橙色の餅を作るには何を入れればいいんだろう。まさか絵の具を入れるわけにもいくまい。となるとここにある、みかんのような色を出すにはどうしたらいいのか……。あっ、そうか。サクラクレパスがあるじゃないか。


Num.0089 ID0224

ロアシ×ウメニクレパス。驚異のコラボレーション企画が遂に登場。お口に優しいふたつの企業がタッグを組んで『ロッキークレパス』を新開発。このロッキークレパスはチョコレートを工夫し12色のカラーを持たせたロッキーをひとつのパッケージに収めた商品だ。という夢を見たのさ。


Num.0090 ID0227

4月15日は遺言供養の日です。内容が実現不可能、法的に不可能、解読が不可能、理解が不可能、等の事情を持つ遺言を供養する日です。「私の身体を再構築する為にアトランティスへ行きオリハルコンを手に入れそれを太陽の直火で加工し、神経はアリアドネの……」……だとよ。


Num.0091 ID0230

4月16日の出来事。トロイア戦争に行った秋岩成君が帰還を果たした日。彼の帰路は決して平坦なものではなかった。ひとつ目のノワミサンに閉じ込められ仲間を喰われ東山茉来の歌声に悩まされ船が鈴本えずに破壊され島に流れ着けば大松未可斗に軟禁され帰れば家は更地になっていた。


Num.0092 ID0236

4月18日の出来事。酷使し老朽化した無線の焦げる臭いが大好きだという世界アマチュア無線香協会の会長に自然無線香派の高島札了さんが選ばれました。尚、人工的に焦げた臭いを作り出す人工無線香派の長谷川農さんは協会離脱の意向を示しており今後両派の動きから目が離せません。


Num.0093 ID0237

4月19日は自転車地図の日です。いくら走っても進まないように感じる自転車で行ける場所が描かれた地図は薬を飲んで夢の扉をくぐった先にあるキングダムへの道標です。この地図には様々な場所が記されていますがそれらを繋ぐ道はありません。脳で精一杯自転車を走らせましょう。


Num.0094 ID0238

他人様が称賛するものを嫌うのは斜に構えている訳でもニヒリズム気取っている訳でもない。そういう輪から疎外され続けてきたのだ。これから先もそれは続く。疎外され続けるのに疎外するものを称賛する程に高尚な魂など持ち合わせていない。だからいつでも仲間外れ。ひとりぼっち。


Num.0095 ID0240

4月19日の出来事。プリムローズに魅入られ自らの身体に薔薇を巻き付けて生活している岩城滉市さんが更なる薔薇の世界を創造する為に阿寒湖の畔に建てた薔薇研究所で爆発事故が起こり人間が薔薇になる恐ろしいウイルスがバラ蒔かれました。尚、感染するのは男性だけのようです。


Num.0096 ID0241

4月20日は大麻雨です。四十八節記のひとつです。マリファナ諸島でこの季節に発生する竜巻によって巻き上げられた大麻が上空の強い気流に乗って日本まで流れてくる頃です。この大麻は上空で化学物質と雨が結合し大麻雨となって降り注ぎます。お出掛けの際は傘と漏斗を忘れずに。


Num.0097 ID0244

4月20日の出来事。女子大国へ派遣された青年海外協力隊でしたが国境沿いで入国審査を受け協力隊の半数が入国できずに帰還しました。平等を謳う女子大国ですが一方で国家の政策は盲目的女権論だとする意見もあり入国を望む男性で青年海外協力隊は溢れています。男って馬鹿ですね。


Num.0098 ID0248

ついのべが後2本で250本になります。今回の50本は『今日は何の日』と『今日の出来事』ばかりです。簡単に書ける反面、水増しにしか見えないのは蓋のない落とし穴。奈落の底へご招待。この名前の作品は面白いという信用は大切です。皆様は失わないようお気をつけくださいませ。


Num.0099 ID0252

4月22日はアースデイ=ブレイクです。地球の進化が起きた日です。かつて水の惑星と呼ばれ人類が誕生し繁栄した地球でしたが時が経つにつれ環境は変化を見せました。そこで地球の進化を促す事で様々な問題を解決するプロジェクトが発足し実行に移されました。地球の夜明けです。


Num.0100 ID0253

4月22日の出来事。インディーFFに参戦中の斉藤拓真さんが第3戦ステュクスビーチで優勝しました。この日4番手でスタートし前のふたりを抜き去った後、クッパのサテライトキャノンに狙われつつも最終ラップでハスラーワンのセラフをオーバーテイクし初優勝を勝ち取りました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る