完成 これにて大団円!!

完成 「あー、世界を救っちゃいましたもんね。しかも粘土で」

 さて、どこから語ろうか?


 TRICYを壊した俺達はあの後、夏水の捜し人を捜すべく、クラップス星人のアジト中を捜索してみたが、見つからなかった。

 アイツ曰く、


「もしかすると、僕が見せつけられたのは偽者だったのかもしれません。向こうへ帰ってから確かめてみます」


 との事だった。

 捜索ついでにアジト中を駆け回って、出口を捜して見つけた俺達は無事外へと脱出することが出来た。外はすっかり日が暮れていて、満天の星空を見ることが出来た。

 俺は俺達の戦績と学校の状況を確認するために先生へ連絡を取ることにした。


『山吹、無事か』

「夏水も俺も無事です。こっちは、クラップス星人のボスを倒したのですが、そっちの方はどうですか?」

『コチラも無事作戦完了だ。いきなりクラップス星人が弱体化したと思えば、お前らがボスを倒したってワケだな。でかしたぞ。で、今何処にいる? これから迎えに行く』


 俺はスマホのアプリで現在位置を確認して先生に伝えた。

 一時間後、先生はワゴンタイプの車で迎えに来た。


「一先ず、学園へと帰るぞ。夏水の迎えが学園でお待ちかねだ」

「僕に迎えですか?」

「お前が一番会いたがっている人だそうだぞ」


 先生からのその一言で夏水の表情が綻んだ。


「そうですか……、やっぱり生きていたんですね」


 俺が良かったなと話しかけると、夏水は凄く嬉しそうにハイ。と答えた。



 学校に着き、俺達が車から降りるとそこには何やらお偉いさん達がゾロゾロと集まっていた。


「これはまた大勢のお出迎えで」

「僕達、まるで国の要人になったみたいですね」


 夏水の一言で俺は少し噴き出してしまった。


「要人というよりは、勇者みたいな感じじゃないか?」

「あー、世界を救っちゃいましたもんね。しかも粘土で」

「前代未聞だよな。粘土で世界を救うだなんて」

「僕なら、それをキャッチコピーに話を1作書いてしまいそうです。……さて、そろそろ本当にお別れです」


 夏水はそう言って、お偉いさんの方へと歩みを進める。


「長い間お世話になりました。三琴君、お元気で」


 夏水はニッコリ笑いながら手を振る。


「あぁ。また、会いに来いよな」

「えっ。いいんですか?」


 俺の言葉に夏水は驚いた様子で目を丸くした。


「当たり前だろ。夏水はモデリング部の一員みたいなものだし、なぁ先生?」

「そうだな。夏水、何時でも帰って来い!」

「あ、ありがとうございます!」


 そういう夏水の目には涙が溢れて出していた。


「ではでは、またお会いしましょう!!」


 元気良く手を振って、夏水は車に乗せられて去っていった。




 あれから、半年以上の月日が過ぎ去った。

 クラップス星人の征服を食い止めた俺達モデリング部は、地球内外から英雄のような扱いを受けていた。それは月日が経つにつれて落ち着いてきたけども、他の宇宙人の侵略行為はなかなか待ってくれることはなく、結構な頻度で出動させられるハメになっていた。


 そんな忙しい日々を送っている中で、俺は高校2年生へと進級した。

 今日はそんな2年生となった新学期。特Sクラスは1クラスしかないので、特にクラス替えで人が入れ替わりすることは無く、見たことのあるメンツが一同を介していた。

 しかし、俺は教室をよく見回して、ある違和感に気づいてしまった。


「……席が一つ多い?」


 1年のときに35席だったのが、36席あるのだ。


「おはよー! みこちゃん! 大ニュースだよ!」


 渉がいつも通りのハイテンションでやって来た。


「大ニュースってなんだよ」

「特Sクラスに転入生が入るってさ」

「転入生? こんな時期に……、ってまさか!」

「その、まさかですよ」


 ふと聞きなれた声が聞こえて、俺が前を向くとそこには、

 茶山陣学園の制服に身を包んだ、夏水が立っていた。


「夏水、お前……」

「えへへ。ちょっと時間はかかってしまいましたが、帰ってきちゃいました」


 夏水は少し照れくさそうに笑った。


「おかえり、夏水」

「ただいま、三琴君」


 俺達は久々の再会に抱き合って喜んだ。


「んー、いい話だねぇ」

「いい話のところ悪いけど、邪魔するよ!」


 いきなり特Sクラスに亀山先生が殴りこんできた。


「よぉ、おかえり夏水。早速だけど例の新作クレポンをコチラに渡して貰おうか」

「え、え? 何のことですかねぇ」


 夏水は白々しく目線を逸らした。


「お前が研究室から勝手に持ち出したっていうのはとっくに割れてるんだよ。さ、渡しなさい」


 先生が手を出すと、夏水は、


「嫌ですー」

「あ、コラまて!」


 と言いながら俺の手首を掴んで走り出した。


「え、何で俺まで逃げないといけないんだ」

「三琴君には共犯者になってもらいますよ。なんせ、世界を救った同士なのですから」

「それは、関係ないだろ!!」


 そんなやりとりをやりながら、俺達は先生から懸命に逃げた。



 これから、さらに楽しいモデリングライフが始まるような予感がした。



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【完結】もでりんぐ!! 黒幕横丁 @kuromaku125

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