驚くほどに見事に描かれた「貴方」の二人称小説

私も創作家の端くれとして、文章の人称はいろいろと考えてきた。
私・僕の一人称なら書ける、固有名詞の三人称なら書ける。
でも、「貴方(あなた)」の二人称は、どうやっても私には書けず、いつしかそれを諦めた。
読者として、たとえば北村薫さんの『ターン』のような二人称小説の名作に触れてきましたが、自分で書くとなると、もう何一つアイデアが思い浮かばないのだ。

しかし、それが、この小説ではなんの違和感もなく描かれている。
それどころか、ただの技巧的な挑戦ではなく、その二人称の使用でなければ物語が成立しないという形で、キレイにはまっている。
そして、それを当たり前のように描いた上で、文章も丁寧で魅力的なのだ。


すごくいい作品を拝読しました。ありがとうございます。
この先も楽しませていただきます!

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