想い出のポラロイド

天川裕司

想い出のポラロイド

【意味怖】タイトル:(仮)想い出のポラロイド


▼登場人物

●桜田 翔(さくらだ しょう):男性。20歳。普通の大学生。

●菱見正英(ひしみ まさひで):男性。20歳。翔の友達。

●川野順平(かわの じゅんぺい):男性。20歳。翔の友達。

●吉川真守(よしかわ まもる):男性。20歳。翔の友達。


▼場所設定

●山桜が背景に見える場所:4人で行くレジャー先にある。絶景ポイント。

●「不知火(しらぬい)の滝」:4人で行くレジャー先にある。絶景ポイント。

●翔の自宅:一般的な戸建てのイメージで。


NAは桜田 翔でよろしくお願いいたします。

(イントロ+メインシナリオ+解説=3002字)



イントロ〜


皆さんこんにちは。

皆さんは、レジャーへ行ったり旅行へ行ったりするのは好きですか?

今回は、大学生4人がレジャーへ行った時の意味怖のお話です。



メインシナリオ〜


ト書き〈レジャー当日〉


俺の名前は桜田 翔。

今年20歳になる普通の大学生だ。

俺の隣にいるこいつらは昔からの友達。

菱見正英。川野順平。吉川真守。

みんな同い年。

殆ど幼馴染みたいなもんだ。


翔「おい正英、お前今日遅かったなぁ。何やってたんだよ?」


正英「ごめんごめん、買ったばっかのカメラ探してたんだけど見つかんなくて。しょうがねぇから親父が昔使ってた古いポラロイド持ってきたんだよ」


順平「ったく、お前は昔からそういうトコ抜けてるよなぁー」


真守「言えてる言えてる。高校ん時もテストの日によく遅刻してたもんなぁ」


翔「確か中学ん時は体操服もよく忘れてたよな」


順平「ハハハハ!覚えてる覚えてる!よく昼休みに取りに帰ってたなぁw」


正英「昔話しはやめてくれよ〜」


翔・順平・真守「ハハハハ!」


今日は大学も休み。

俺たちは1日掛けてドライブに行く計画を立てていた。


ト書き〈出発〉


翔「よーし!じゃ行こっか」


車の運転は俺。

みんな乗り込み、快調に走り出した。


順平「お、見えてきたか?あの山だろ」


目的地が近づいてきた。

少し郊外にある、山桜がとても綺麗な観光名所。

俺たちはずっとこの界隈に住んでいたが、実際に来た事は無い。

だから「卒業する迄には行こう」と皆で決めていたのだ。


ト書き〈山桜ポイント〉


人出が多い割に駐車場は空いていた。

車を停めて、早速ポイントに向かう。


翔「おぉ〜やっぱ綺麗だなぁー♪」


順平「すげぇ〜」


真守「最近ずっと家に籠ってたから心が洗われるぜ♪」


この名所のお勧めは、山桜と不知火の滝。

高台から見下ろす山桜。

まるでピンク色した桜の絨毯が、目の前一面に敷かれたようだ。


正英「…やっぱ綺麗だよなぁ。俺さ、もう昔の事だけど、ここと似たような名所が田舎にあってさ、父ちゃんに何回か連れてって貰った事あったんだ。そこもこんな綺麗な桜の絨毯でさ、これ見てると、なんだか思い出すよ・・・」


翔「へ〜、でも田舎にこんな場所あるっていいなー」


正英「ハハ、まぁな。よく行ってたよホント」


順平「やっぱ田舎のあるヤツは羨ましいネ。俺なんかずっと東京住みだからさぁ、帰りたくてもそんな田舎ねぇもん」


翔「ハハ、だよな。俺も一緒」


真守「そう言えばお2人さんはずっと東京だったよなぁ。オ・レ・は、ちゃんと田舎あるからねー。田舎はいいよ~、空気は美味いし、ほっこり落ち着くし。東京の空気に汚れた後は、田舎に帰って森林浴にでも行って、あとでゆっくり風呂に入って寝るのがいい…なんて子供心に思ってたもんだぜw」


翔「うっせ!俺だってその内、自力で田舎 作り上げてやらぁ!」


順平「ハハ!」


そう言えば正英と真守は中学の頃に地方から上京して来た。

当時は「カッペ(田舎モンの事)」なんてクラスの奴に馬鹿にされてたが。

今となっては染み染み羨ましい。

変われば変わるもんだ。

俺たち4人は暫く桜に見入っていた。

そして…


翔「あ、そうだ。おい正英、写真写真!」


正英「おう、忘れてだぜ」


正英はポラロイドカメラを構えた。


正英「はい行くぞー、1 +1 は?」


翔・順平・真守「ニッ!」


真守「おし!じゃあ次は俺が撮ってやるよ」


真守「はい行くぞー、ダブルピースで!」


翔・順平・正英「ほい!」


ト書き〈不知火の滝〉


次に俺たちは、不知火の滝に来た。


翔「おおーすげえ!やっぱここだよなぁ醍醐味は!」


正英「間近で見ると迫力あんな!」


順平「シブキがこっちにまで飛んで来そうだなぁ〜」


真守「風流だねぇ」


翔「よし、忘れる前に先に写真撮っとくか」


正英「OK、じゃあ行くぞー」


翔・順平・真守「ニッ!」


ここでも、正英と真守が交代して写真を撮ってくれた。

それから暫く俺たちは滝を眺めていた。


真守「俺、滝って好きなんだよなぁ。俺の田舎は周りが渓谷でさぁ、滝があちこちにあったんだよ。まぁ大体ちっちゃい滝なんだけどさ。俺も昔、爺ちゃんに釣りに連れてって貰った時に、よく滝眺めてぼんやりしてたなぁー」


翔「ふーん。お前、子供ん時から、若年寄だったんだなぁ…」


真守「まぁな。…ん?今何つった?」


順平「わ・か・ど・し・よ・り♪」(小声で)


真守「うるせっ!若年寄言うな!まぁ確かに昔っからオジン臭かったけど!」


翔・順平・正英「ハハハハ!」


こうして俺たちはその日一日をゆっくり満喫した。


ト書き〈翌日〉


そして翌日。


翔「お、来た来た」


早速、昨日撮った写真が出来上がった。

写真は郵送で届いた。

もちろん着払い。

明日は大学のレポート課題があったから、その方が皆も都合良かったのだ。


ト書き〈写真を眺める〉


翔「へぇ綺麗に撮れてんなぁー。ポラロイドもいいね♪」


一面ピンクの山桜を背景に、俺たち4人がしっかり笑顔で写っている。

「不知火の滝」の前では、正英と真守が少しおどけた格好で写ってる。


翔は「ハハ、記念だなこりゃ」


どの写真にも、4人が満面の笑みで写っていた。


ト書き〈着信〉


写真を見始めてすぐ、2本の電話が入った。

携帯電話ではなく、俺の家の固定電話に。

電話の主は、正英の親と真守の親。

話を聴いた直後、俺はゾッとした。



解説〜


はい、ここまでのお話でしたが、意味怖の内容に気づきましたか?

それでは簡単に解説していきます。


翔、順平、正英、真守の4人は、皆で観光名所へレジャーに行きました。

そのとき正英はポラロイドカメラを持参します。

そしてポイントでの写真を次々撮っていきました。


・山桜を背にした絶景ポイント

・不知火の滝


この2つの名所で撮った写真には、4人全員が映っています。


でも、おかしいですよね?

4人が同時に写る事は無い筈です。

正英は、セルフタイマー式のカメラを持って来ていませんでした。

また他の誰かに撮って貰った場面もありません。


「正英の父親が昔使っていたポラロイドカメラ」

と言う事から、一昔前のカメラ、つまり旧式のカメラだった事も分かります。


更に正英と真守は交代して写真を撮っていました。

この点からも4人が同時に写る事は有り得ません。


そしてレジャーを終えた翌日。

翔が写真を見ていた時に、2本の電話が入ります。

正英の実家と真守の実家から。


もう勘のいい人はピンと来たでしょうか。

そう、正英と真守は、レジャーに行く直前に事故で亡くなっていたのです。


正英の親も真守の親も、翔の携帯番号を知りませんでした。

だから翔の自宅の固定電話に連絡を入れたのです。


事故に遭ってすぐ正英と真守は病院に搬送されました。

でも、どうしても翔や順平と一緒に行きたかったのでしょう。

レジャー当日の朝、2人は生霊のように翔の自宅前に現れたのです。

そしてそのままドライブへ行き、皆と感動を分かち合いました。


正英も真守もレジャー先で、ふと昔の事を思い出したりしています。

父親に連れられて行った桜の絶景ポイント。

祖父に連れられて行ったあの渓谷で見た滝。

彼らにとっての思い出の景色を、きっと4人で一緒に観たかった・・・

そんな情景すら浮んできますね。


「もう2度と撮る事が出来ないその記念写真を、4人一緒に撮りたかった…」

その気持ちが溢れ出た写真を、翔も順平もそのあとで見る事になったのです。


皆さんも友達と一緒にどこかへレジャーに行った時。

もしかすると、こんな経験をするかも知れませんね。

いつもは言わない昔話を友達が始めたら、

ちょっと注意しておくと良いかも知れません。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=7D-3iKacZhs&t=73s

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想い出のポラロイド 天川裕司 @tenkawayuji

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