無駄 （「どうでもいい話」出張版）

無駄

　最近（さいきん）、ふと思ったのですよ。

　無駄（むだ）って、そんなに無駄なのかなあって。

　何言ってんの？

　いや、結果（けっか）がすべてとか、タイパとか、それに意味があるのかとか……。

　回（まわ）り道（みち）が無駄なことと言われているようで。

　なんか、いや。

　ネット検索（けんさく）ならすぐに答え出てきます。

　AIならもうそれこそ一瞬（いっしゅん）で。

　自分の足で現地（げんち）に赴（おもむ）くことはおもしろいと思うんですけど。

　検索すればすぐにきれいな景色（けしき）見られますが、実際（じっさい）に訪（おとず）れた時の空気感（くうきかん）、肌（はだ）で感じるものはかけがえのないものです。においなんて、その場に行かないと分かりませんから、今はまだ。動物園って、けっこう臭（くさ）い。それを知るのもね、現場（げんば）に行ってこそですし。晴れの景色ばかりでなく、雨の景色に当たるのも乙（おつ）なものです。

　スポーツでも最近は「それに意味（いみ）があるのか」とすぐに答えを欲（ほ）しがりますが、自分で試行錯誤（しこうさくご）して身につけたもののほうが絶対（ぜったい）、モノになりやすい。

　受験（じゅけん）。労（ろう）せず受かりたいものです。それは誰（だれ）もが同じ。

　でも、その労こそが人生（じんせい）の糧（かて）になる。

　テスト勉強（べんきょう）そのものよりも、目標（もくひょう）のためにがんばった日々こそ長い目で見れば重要（じゅうよう）なのです。

　受験失敗、それこそ無駄に終わっても、その無駄を経（へ）て人は大きくもなれる。

　究極（きゅうきょく）、休日も無駄といえば無駄。お金にならないから。逆にお金を使うから。

　だからって、休みを取らなければ壊（こわ）れてしまうのは誰もが知っていることです。

　睡眠時間（すいみんじかん）を無駄と削（けず）る人もいますけど、確実（かくじつ）に命（いのち）も削られます。

　某（ぼう）お金持ち（たち？）は麻薬（まやく）まで使って睡眠時間を無くしていますが、聞いただけで命を無駄にしているなって、それこそ眉（まゆ）を顰（ひそ）めます。

　人生って、無駄のほうが多いです。

　でも、それって本当に、無駄ですか？

　一見（いっけん）無駄と思えるような遠回（とおまわ）りをしてこそ、正解（せいかい）にたどり着くことはいっぱいある。

　今は無駄と思えても、あれがあったからこそと思える日はきっと来る。

　過程（かてい）こそ大事。

　過去（かこ）の無駄があってこそ、今の苦しみも乗り越えられる。

　そもそも、一つ結果を得（え）られれば、それはもう次のゴールへの過程に過ぎなくなる。結果（栄光（えいこう））なんて、すぐに過去へと消えてしまう。

　無駄を越（こ）えてきたからこそ。

　無駄があったからこそ。

　無駄は心の栄養（えいよう）。

　無駄こそ、必要（ひつよう）。

　「無用（むよう）の用（よう）」の言葉（ことば）もあるじゃないか。

　昔の人は分かっている。

　今にも通（つう）じる。

　焦（あせ）る自分をセーブするためには、そんな考え方をするといいのかなあ。

　誰に言うでもなく、自分へ。ふと思うわけです。

　そんなどうでもいい話。