公園でお弁当を食べよう

Let's eat lunch in the park

除草剤撒かれたばかりの草原にて

夢なき蝮（まむし）を見逃してやる

まみどりのハナウタを吸う

これが桜と呼ばれたのは四月のこと

不揃いの前髪を揺らせ

やがて親になるシジュウカラ

ベンチにて足をぶらぶら

あむあむ食べるたらこおにぎり

「誰にだって内緒だけど

とびきりいいウィンナを茹ですぎた」

パステルの象くんのお化粧の

剥がれた部分をぺたぺた撫でてやる

「ここに誰かいましたの？」

滑り台のてっぺんにほしさんの標（しるし）

すうと前横切る猫や

我にくっつかぬ君はしあわせなのだろう

「そうあおいろ おそらのあおいろ

あおいろだいすき 、、、、やっとはけた」

草原に寝転ぶアベックが時間差で

大きなあくびをする わらう

僕の捨てた石が来るぞ

逃げろ逃げろ せせらぎよ対岸まで

右手には絆創膏みっつ

左手は心臓から来た汗びっしょり

足音を咥えて消えないで鷺 （さぎ）

私、たぶんあなたがすきよ。

ベンチにて子の熱なき玩具を

宥めつつ口ずさむ辻仁成

衛星ひまわりへと一礼

晴れを降らせてくれてありがとね

この國のこの公園のこのわたしは

こんなに笑えるんたった あは

ぱっきりと 折れた前歯の半分が

浴びたかった風を浴びています

ヘアゴムも付けずアスファルトを

踏むあんな女にふられてみたい

いい靴はここでおるすばん

素足を刺す川 んあ つめたあい。

この惑星（ほし）のたかい天井を

ぽっかり空けたおべんとうとの観測会