公園近くのホテルと銀行員
フィステリアタナカ
公園近くのホテルと銀行員
五月二日の夜。私は今、大久保公園の外側にあるガードレールに腰を掛けている。 去年、大学一年の新入生歓迎コンパで飲まされ、私は気がついたら先輩方にまわされていた。それは都会を知らない田舎娘には痛烈な洗礼で、それからの大学生活も思うようには行かなかった。
大学二年生に上がったある日。憂さ晴らしに行ったホストクラブで私は運命の出会いを果たした。彼は私に優しく、愛の言葉を囁いてくれる。彼の為にいろいろな物を貢ぎ、お金が足りなくなったので春を売っているわけだ。
「おう、久しぶりじゃないか」
そう声をかけてきたのは田舎の銀行で勤める知り合いのおじさんだった。こんな所で知り合いに会って何だか嫌な気分になった。
「二十万、ホ別で。どうだ?」
二十万! 銀行員は違うんだな。二十万もあれば彼の為にいろいろな物を買ってあげられる。私は二つ返事でおじさんの後についていくことにした。
事が終わってからの感想は正直最悪。全然気持ち良くないし、近づいてくる顔は嫌悪感しかない。最後の方はゴムが無くなったと言って、そのままだよ。あり得ない。
そして、その翌日。またおじさんが私の前に現れた。
「昨日と同じで、二十万を渡す。ホ別でどうだ?」
我慢料が二十万なら、しょうがないか。こんな好条件を提示してくる人は今後現れないだろう。昨日と同じホテルへ向かう。
「俺のテク、気持ち良かっただろ?」
気持ち悪い。我慢しているこっちの身にもなれ。
そして、その次の日。また次の日と。おじさんと体を重ね、お金を貰い続けた。五月六日、今日で連続五日間となる。「なんでこんなに気前がいいのだろう?」事が終わり、疑問に思っていたことを聞いてみると、おじさんはこう答えた。
「ああ、君のおばあさんから百万円を届けてくれとお金を預かっていたんだよ。今日で渡し終えたから、任務完了だ」
公園近くのホテルと銀行員 フィステリアタナカ @info_dhalsim
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