弱者男性が強者女性に勝つ方法

エリー.ファー

弱者男性が強者女性に勝つ方法

「まず、弱者男性って強者女性に負けてるのかな」

「その、社会的な立ち位置という意味での弱者、強者だと思うんですよね。そういう意味で言うと負けかもしれません。だから、ルール自体を変えましょう」

「例えば」

「もう、殴り合いでいきましょう」

「男性が女性を殴るってこと」

「でも、弱者が強者を殴ってる」

「まぁ、それならいいのかな。うぅん。まぁ、その、弱い者いじめではない、のかな。一応、弱者だし」

「一応じゃなくて、確定で弱者ですから」

「でも、ほら肉体的な差があるわけでしょ」

「強者女性はジムに通っていることが多いですし、弱者男性はジムに通うお金もありません」

「それで、イーブンに持ち込むと。うぅん。いけるかなぁ」

「じゃあ、ほっそい、もやしの弱者男性と、ジムに通う強者女性でいきましょう」

「どうだろう。うぅん。まぁ、ぎりぎりだけどイーブンかな。でも、まぁ、今の時代は格闘技をやってる女性もいるし。いや、昔もいたのに、話題になってなかっただけか」

「じゃあ、細くてもやしの弱者男性とジム通いで格闘技をやってる強者女性でいきましょう」

「まぁ、それなら流石にイーブンってことでいいかも」

「分かりました、そこまで言うなら強者女性には謎のカジュアル目のスーツを着たうさん臭い社長の友達からプレゼントしてもらった高級車も付けましょう。最悪、高級車で弱者男性をやっちゃえます」

「流石にやりすぎ。とにかく、ジム通いと格闘技まででいいよ」

「で、弱者男性は、強者女性の秘密を探ります」

「ちょっと待って、殴り合いなんじゃないの」

「最初から殴り合いはしません。まずは、情報戦です」

「でもさ、強者女性はお金をたくさん持っているわけだから、弱者男性の情報を調べるために何人も探偵を雇えるよねぇ。その時点で、弱者男性が丸裸にされるのは確定じゃん」

「世の中には、どっちが多いと思いますか」

「何が」

「強者女性と弱者男性ですよ」

「あぁ、なるほどね」

「そもそも、地球上で数の少ない女性の中でも少数派である強者女性と、地球上で数の多い男性の中でも圧倒的多数派である弱者男性。強者女性は、どの弱者男性に狙われているのか分からないので全員を調べる必要がありますが、探偵を雇う費用も馬鹿にならないですし、そもそも物理的に不可能です。しかし、弱者男性側は、憎き強者女性を一人選んで身辺調査をすればいいわけです」

「強者女性にとって弱者男性は有象無象の内の一人だけど、弱者男性にとって強者女性は憎き敵だから選び放題なわけだ。うわぁ、自分が視界に入っていないことを利用するという凄く切ない戦略」

「仮に強者女性が弱者男性を攻撃したとしても、圧倒的に数の多い弱者男性のうちの一人がいなくなっただけです。ほかにも、山のように弱者男性はいます。それこそ、仲間がやられる姿を見て、正義の御旗を掲げる弱者男性があらわれるかもしれません」

「最終的に、数が一番強いってことか」

「弱者男性は、いつ攻撃をしてもいいので、気長に身辺調査を行います。それによって強者女性の弱点を見つけたり、通勤ルートやよく行くジムや家族などを調べ上げて、何か日常的に嫌がらせをします。これで、男を漁れなくなるくらいに体力を削り、生息域を狭めて、強者女性を弱らせます」

「強者女性を、害獣か何かだと思ってるね」

「それで、弱ったところを物理で、ドン」

「勝てるかね」

「勝てますよ」

「マジでやったら逮捕案件だよ」

「まぁ、その、上手いことやりますよ」

「でもなぁ、強者女性を倒す弱者男性って、もはや弱者じゃない気がするんだけどなぁ」

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