大谷選手のように

第1話

　大谷選手のように

公園では

子供たちが野球に興じている

ワーワーという歓声

楽しげな笑い声

子供たちは

いつか大谷選手のようになりたいと思う

バットの素振りを何千回

Ｔシャツは汗みずく

しかし彼らの多くは

大谷選手のようにはなれない

夜の公園

子供たちの笑い声が

耳にさざめく……

宇宙では小さな星たちが

しずかに爆発をくりかえす

キーンという耳鳴り

傲然たる静寂

それはいつか

地球とて例外ではない

完全なる消滅

またたく間の砂けむり

そのとき

大谷選手の記録も

モーツァルトの音楽も

グランドキャニオンも

金剛石も

だれひとり

「永遠」にはなれない

ワーワー

真っ暗な宇宙には

無数の星たちとともに

白くさざめく

子供たちの笑い声……

　　　　　　　　　　（了）