第22話 不殺の死者


私、強子はいつもの公園に集まるわ。

今日は遊びじゃなく死者退治


灯は言ったわ


「今日も七死者退治なんだけど、少し特殊な案件でね。」


特殊な案件?

厄介な超能力とかかしら


「その七死者は何度も死者退治人を迎撃してるんだけど、殺してないそうなんだ」


死者退治人を迎撃してるのに、殺してない?死者が

そんなバカな。


「だからって死者だから、退治しなきゃいけないから。

 退治しろっていう本部の命令だよ。」


死者なんだから、影で人を殺してるに決まっているわ

死者退治人を殺して居なくても

上層部のその判断は正解よ。


「その死者の特徴はピンク髪ミディアムヘアーの美少女、小学6年生ぐらい

 超能力は割れていて、自分がゴムのようになれるみたいだよ」


「ゴムのようになれる?」


ゴムのようになれるとどうなるのかしら?」


「攻撃が伸びたり、物理攻撃が通じなかったりするみたいだよ。」


攻撃が伸びるのはまだしも、物理攻撃が通じない!!


「物理が通じないのをどうやって倒すのよ?」


「それはまぁ、現地に行って工夫でなんとかするしかないね。」


工夫って、そんな適当な。


「とりあえず死者の居場所は分かって居る。

 秋葉原に居るそうだよ、秋葉原に行ってみよう」




秋葉原に行くと、その死者は居た

ピンク髪ミディアムヘアーの死者、

その死者はボロイ白Tに、ボロイ赤い短パンを着ている。


「私はクリスだよ~、困っている人は居ない~助けるよ~。」


その死者は困っている人を募っていた

何を考えてるのかしら?


「死者が目の前にいて困って居るわ、死んでくれるかしら?」


私は死者、クリスに絡んだ。


「え~でも私、自殺はしたくないよ~。」


クリスは嫌そうに体をふりながら言う。

けっ!!かわいこぶっちゃって。


「とにかく死んでもらうわよ、私と勝負!!

 タイマンだから手を出さないでね。」


とは言っても、この死者に物理は効かない事は分かって居るわ

なら熱で攻撃よ。


私は霊力を利用して血液を活性化、体の体温をあげた

あやねを倒したときの熱モードだ。


「オラオラオラオラ、オラオラオラオラァ!!」


私は熱を込めたラッシュ攻撃でクリスを攻撃した。

私は笑顔になった


「溶けたか!!」


しかしクリスは笑顔だ

私の攻撃が、何の意味もないかのような笑顔を浮かべている


「!!!!」


「効かないね~。じゃあ反撃するよ。」


クリスは腹にアッパーを放って来た


「がはっ!!」


顔面にパンチを放って来た


「ぐへっ!!」


そして腹に蹴りを放って来た


「がうっ!!」


私は怯んで後ろに下がる。


クリスは哀れみの目でこちらを見つめている


「痛くてかわいそうだね、やめようよ~。

 喧嘩はよくないよ~」


イラッ!!

何が喧嘩はよくない、よ!!

死者の癖に


「死者のくせにぃ!!」


私はクリスを殴りまくった

とにかく殴りまくった。


だけどクリスに一切ダメージはなかった


「満足した?」


憐れむような、同情の表情で

満足した?とだけ聞いて来た


「つぅ、とりゃぁ!!」


私はクリスのおっぱいを殴った

おっぱいが背中の後ろまで伸びた


「や、やったか」


クリスは悲しそうな顔をする、だがそれは胸への攻撃が効いたと言うより。

この戦いそのものへの悲しみに思える


「なんで殺そうとするの、こっちに殺意はないのに。

 もうやめようよ~」


「つっ!!なんでよ、なんでそんな悲しそうな顔をするのよ!!」


私の心はもうぐちゃぐちゃだった


「死者なんでしょ!!なら同情じゃなく、殺意で返しなさいよ。

 私を殺そうとしなさいよ。それが死者でしょ!!」


「私は不殺主義者だから~、誰も殺さないよ。」


不殺、主義者。

本当に誰も殺さない死者だとでも言うの?


私はその場にうなだれた。攻撃は通じない。

誰も殺さない死者、戦う理由がない。


クリスは手を差し伸べて来た


「貴女も人助けしようよ、死者も人間も助けてあげるの」


「死者も、人間も助ける?」


そんな事出来るの?

死者と人間は相反するものでは?


「惑わされるな、こいつは所詮死者、人殺し…」


「後ろの2人も、感じたことはない?

 死者にある人間への情を。」


十兵衛と灯は、図星を突かれたのか。

黙る、そうだ感じた事があるはずだ


あやねと黒子は本当の仲良しだった。

確かに死者に、人間への情があった。


「それを突き詰めれば、死者と人間が和解出来ると思うの~

 だからあきらめないで助けてあげようよ~」


私は叫んだ


「私は死者に家族を殺された!!それを許せって言うの?

 私のお父さんとお母さんは、死者のせいで居なくなったのに!!」


「でも、ほとんどの死者はその事と関係ないよ~」


つっ!!図星、正論を言われた。

死者に殺されたが、その死者は1人だけで

他の死者は関係ない


「だからみんなを助けよう~、助けてあげようよ~

 そしたらきっと素敵な世界が広がるはずだから。」


十兵衛が言う


「死者を殺すたびに、人間味みたいなのを感じる時があった。

 外道な死者も居たが、そうじゃない死者も居た。」


確かに。

それも七死者にはそれが顕著だったように思える


あやねは人間と友情を結んでいたし、ユキユカの姉妹愛は本物だった。


「俺は、死者と和解したいのかもしれない。」


灯は驚いた表情を浮かべる


「キミ、自分が何言ってるか分かってる?」


「分かってるさ。お前について行けばそれが出来るのか?クリス。」


「出来るか分からないけど~、精一杯目指すよ」


嘘でしょ、今日であったばかりの死者の

言葉で、名家の誇りを捨てるって言うの?

死者退治をやめると。


「なら俺はついて行きたいと思う、名家でも。

 俺の心がそう望むからだ」


信じられない決断だ

灯は悩んだ後…言う


「…私も、乗ろうかな。

 死者を退治する時の罪悪感、ごまかしてた部分があるし。」


灯まで。

私は、私は…


「貴女はどうするのかな~?」


「私も、乗るわ。」


自分でも信じられない事に、私もこの死者に乗っていた

両親を死者に殺されたはずなのに。


理由は、分かって居る。

黒子の事がそうさせたのだ。


黒子を殺してしまったから、死者を殺す。

では罪滅ぼしにならないと気づいていたのだ


黒子は死者と絆を結んでいた、それを大事にしてこそ

罪滅ぼしになると、心のどこかでは気づいていたのだ


「決まりだね~、それじゃあ3人とも頑張って人助けしようか~

 とりあえずここで困っている人を呼ぶ活動を~」


「してたら死者退治人に殺されるぞ、とりあえず1回どこかへ潜伏だ。」


「隠れ場所にゴー!!だよ。」


2人はそう言って強引にクリスを連れて行った


「あ~れ~」


これからどうなるのかしら?

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