第5話

 デート当日。


 いい感じの晴天で風が気持ちいい。

 そして、その風景にいる俺。


「完璧だ!」


 勘違いされる前に言っておこう、俺は決してナルシストではない。

 ただ、自分に酔いしれてるだけだ!


 そういうことで、俺は待ち合わせ場所に向かうため、足を踏み出した。


 家が隣なんだから、一緒に行ったらいいといったんだが「デートと言ったら待ち合わせだよ!」ということらしい。


 まぁ、俺は玲とデートできたらなんでもいい。


 電車に揺られ数分。


 俺が再び大地を歩み出した。


 このフレーズかっこよくね?

 別に?あ、そう……


 えっと、玲は……


「お姉さん、ちょっとでいいからさ!」


 あからさま、ナンパですやん……

 しかもナンパされてるの玲ですやん……


 あのナンパ男が玲の腕を掴もうとしたところで。


「玲、待ったか?」

「あ!ゆー君!!」


 玲に話しかけると、ナンパ男の魔の手からするりと抜けて俺の元に走ってきた。

 そして、俺の腕に抱きつき。


「うぅん、全然」


 そう答えたあと、ナンパ男に振り返り


「あ、ちなみに僕、男だよ!」


 と言い放った。


「なっ!え…?」


 困惑してらっしゃる。

 いや〜滑稽、滑稽!


「え?男…男…?むしろありか…?」


 おっと〜貴様もいける口か〜?

 だが、残念。


「こいつは俺のもんだ」

「あっ♪」


 玲の手を握り歩き出した。


「可愛いのも大変だな…」

「そんなことないよ…好きな人に可愛いって言ってもらえるもん」

「え?悪い、後半が聞こえなかった」


 なんて言ったんだ?

 人が多くて聞き取りづらい。


「なんでもないよ〜だ!」


 一体なんだったんだろうか?

 まぁ、玲がなにもないと言うなら仕方がないか。


 あぁ、言っておかなくてはいけないことがあった。


「玲、今日も可愛いな」

「っ……!!ずるいよ……」


 ふふ、少しはやり返せたんではないだろうか。

 可愛いのは事実だけどな。


「えへへ、ゆー君もかっこいいよ!」

「っ……」


 柔らかく微笑む玲にドキッとした。

 これは心臓に悪いやつだ。


 玲は俺にずるいと言うが、お前の方がずるいだろ……

 改めて思うわ。


「ほら、行くよ!デートはこれからだぞ!」

「あぁ、そうだな」


 今日は濃い一日になりそうだ。

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