第4話

〈玲視点〉


 突然だけど、僕には好きな人がいる。


 もう分かってると思うけど、そうゆー君のことが好きなのだ。


 でも、僕は男だ。

 それでも、ゆー君のことが大好きだ。

 だって、ゆー君は僕を救ってくれたヒーローだから。


 小学低学年の時かな?

 僕はよくいじめられてた。

 理由は、僕の見た目が女の子見たいだからだった。


『女みたいできも〜!』


 この言葉を幾度もなく浴びてきた。

 僕だって、好きでこの見た目で生まれてきたわけじゃないのに……


『おい!おまえら!』


 だけど、そんな時に助けてくれたのはゆー君だった。


『ゆうとがきたぞ!にげろ〜!』

『あ、にげるな!』


 僕とゆー君との出会いはここからだった。


『くそ!にげられた…おまえ、だいじょうぶか?』

『あ、ありがとう……』


 助けてくれたのは嬉しかった。

 でも、もしかしたらこの子も…なんて考えて怯えていた。


『いいってことよ!まったく、こんなかわいいこをいじめてなにがたのしいんだ?』

『か、かわ……!!』


 他の人に初めて言われた可愛い。

 うぅん、ゆー君に言ってもらえた可愛いが僕がゆー君のことを好きになるには十分すぎる言葉だった。


『またいじめられたら、おれにいってくれ!ぜったい、たすけるから!』

『うん!』


 僕は、ゆー君に惚れてもらうために女装をするようになった。

 僕のせっかくの女の子みたいな顔を使うのに打ってつけだった。


「へへ、懐かしな〜」


 あれから、今までずっとゆー君と一緒にいた。

 小学校も中学校も、もちろん高校も。


 でも、成長していくとゆー君はとってもかっこよくなった。

 だから、僕は焦っている。


 きっと、今まで通りだと何も変わらない。

 他の女に取られるかもしれない。


 だから、僕は今日から積極的に行こうと思って、デートに誘った、誘ったのに……


「寝過ごすことってある〜!?」


 まぁ、別にいいんだけどね。

 なんでも言うことを聞かせられる権利を得たわけだし。

 明日、一日フルでデートにいけるし。

 あれ?むしろこっちの方がいい?


「ラッキーだ〜!」


 んふふ、明日の準備も完璧。

 早く寝よっと。


 ベットに入り、スマホの画面に映る寝顔のゆー君に向かって


「おやすみ」


 と言い、眠りについた。



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