大阪・関西万博開催危機!

あんた 誰

第1話 大阪・関西万博開催危機!

果たして2025年に大阪・関西万博は開かれるであろうか。

勿論、どんな状況でも、例え強行しても開催すれば、一応は開催した事には出来る。

だが、本当に万国博覧会にふさわしい催しが開かれるかどうかが問題なのである。

これを書いている時点では2024年5月なので、1年後には結果は分かっている訳だが、はたしてどうだろうか。

まず、私が最初に懸念を感じたのは今から1年前の2023年の夏ごろの事だ。

いまだに海外パビリオンは何も建設が行われていないと聞いた時だ。しかも、その多くが、まだ建築申請さえされず、建設業者も決まっていないというのだ。

これは何かただ事ではない事が起こっていると感じた。

そこで注意深く情報をみていくと、実に興味深いことが分かってきた。

現在、万博開催予定地とされている場所は実は大阪のゴミの最終処分場の埋め立て地として使われてきていた場所だという事だ。建築廃材や浚渫土などを捨てて埋め立ててきた場所なのだ。しかも、埋め立ててまだそれほど年月が経過していないため地盤が固まっていなくて、いわゆる軟弱地盤なのだ。とてもじゃないが建物を建てられる土地ではないのである。地中からはゴミから出るメタンガスが至る所から湧き出している。しかも今だに年に数十センチは地盤沈下が進行している場所なのだ。

このような所で万博を開くというのは無理なのではないかというのが最初の印象だった。

勿論、多額の費用をかけて地盤を整備・補強するなどの工事をすれば出来ない事ではないが、それには莫大な予算がかかる。そこまでお金をかけて、ここで万博を行う意味はないだろうという感想だ。そもそも大阪には他に土地がないわけではない。他に何か所も、ちゃんとした地盤の場所あるのだ。もしも本気で万博を行いたいのであれば、他にあるちゃんとした場所で行うべきなのである。

例えば地盤の固さを示す指標にN値というものがある。普通の建物は20以上ないと建てられない。ビルであれば40以上ないといけないらしいが、この予定地はN値が、わずか5しかないというのだ。まあ、万博は半年だけの開催なので、その間もってくれればいいという考えかもしれないが、あまりに無謀な計画だ。

そういう点では最初の開催場所の選定で、大きな間違いを起こしていると言えるだろう。

さらに驚いたのは2023年の夏ごろから、木製の大屋根リングを作り始めた事だ。まだ海外の各国独自のパビリオンAが一切建っていないのに、それらを取り囲む事になっている外周2kmに及ぶ大屋根リングの工事が始まった事だ。

先に外周を取り囲む壁の様な物が作られてしまうと、当然のことながら、その中に作らなくてはならない海外のパビリオンの建設の邪魔になってしまう。最悪の場合は建設車両や資材の運搬に支障が出て、建設が出来なくなってしまう恐れが出てきたのだ。

さらにもし工事車両がリング内に入る事が出来たとしても、単に入れればいいというものではない。パビリオンを作るには、それなりの作業スペースや資材置き場が必要なのだ。そうしないと作業効率が著しく悪くなり、建設の遅れにつながりかねない。

資材置き場が必要なら大屋根リングの外に置いておけばいいじゃないかと言われるだろうが、資材を一々リングの外から中に運んでいたのでは、やはり作業効率は落ちる。なるべく近くに置いておけた方がいいわけだ。というのも普通の建設とは違い、工期を間に合わせるには50なり60なりの国のパビリオンを一斉に今後数か月で作らなくてはならないのだ。これらの工事が集中するので混乱を避けるためにも、なるべく資材は近くに置いて作業する方が望ましいわけだ。しかし大屋根リングを先に作ってしまうおかげで、そういったスペースの確保が難しくなることが懸念され、建設の大幅な遅れが危惧されるのだ。

勿論、木製リングが邪魔になり、重機や建設機材が入らないなどという事態が起これば、もはや建設は出来ないという事態もあり得る話だ。しかし、さすがに万博協会も海外のパビリオンがどのような重機でどのような建物を建設するのかという様な情報は把握しているだろうから、十分な余裕をもって大屋根リングを作ったのであろうから、搬入に関する問題は起こらないとは思うのではあるが。


よくこういう話をすると万博に反対しているかのように言われるのであるが、それは間違いだ。むしろ、ちゃんとした万博を行ってほしいから指摘しているだけなのだ。

何しろ1年前には、まだ何も建っていなかったわけだから、あの時点でちゃんとした地盤の場所に開催地を変更しておけば、今頃何の心配もなく過ごせていたのである。


今の場所で万博を開催しようとしている限り、今後もなかなか難しい問題に直面していくのではないかと危惧せざるを得ない。

私たち一般の国民は、とりあえず見守っていくことしかできないという現状だ。いずれにしろ1年後には、どうなっているかという答えは知る事が出来る。


西暦2024年

令和6年5月5日

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