十四日目

太陽暦934年 5月19日 雨のち晴れ ゼノン=クロック 16歳


 今日の目覚めははっきり言って最悪であった。

 雨でべとべと、焚火は奮闘虚しく鎮火しており夏が近いというのにとても寒かった。自然由来のテントは雨漏りが酷く、低体温症に気を付けなければならなかった。


 俺達四人は話し合った結果、雨の森を駆け抜けた。

 地面はぬかるんでおり、コケたりして結構傷を負ったが、幸い、土砂崩れや川の氾濫は起こっておらず、来た道をそのまま帰ってくることができた。


 依頼品を急いでギルドに届けた後、俺達は銭湯へ向かった。普段は水洗いや贅沢したいときは五右衛門風呂をしたりするのだが、流石に今日は一刻も早く温まりたかった。


 風呂は傷に染みたが、それ以上にその温もりが俺達を癒した。

 風呂でしばらくポケーッとした後、俺達四人は将来について話した。

 時間というのは早いもので、今日で俺達はランク2に到達した。なので、元々設定していたパーティーを組む期間は終了したのだ。


 アストラは今のまま、採集の依頼をこなしながら、この町でゆっくり生活を送るとのこと。

 ビークンはランク3、4を目指しつつ、森で狩猟や護衛をしていくとのこと。二人は活動範囲が被るのでこの先しばらく共に行動するとのこと。

 パークリーはある程度すれば、町に出て軍隊に入るようだ。恵まれた肉体を活かして、出世し、あわよくば騎士位を狙っているとのこと。パークリーは頭が悪い訳でもなく、技術を磨けば一流の戦士になれること間違いないしだろう。


 そして、俺は魔王を倒すことを三人に話した。三人は馬鹿にするような笑いをする訳でもなく、真剣に話を聞いてくれた。パークリーが「なら俺は貴族となってお前を助けてやる。」と大真面目に言ってくれたことはとても嬉しかった。


 話の後、俺はギルドに行って、ランク試験の受験を申し込んだ。試験は明後日、取り敢えず、今日は早く寝るとしよう。

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