十三日目
太陽暦934年 5月18日 晴れ ゼノン=クロック 16歳
さて、今日はいつものパーティーであるアスマラ、ビークン、パークリーとでランク2の依頼を受けた。というか、受けている最中である。
採集の依頼を受けて、依頼品を見つけたまでは良かったのだが、明らかに一日で帰れる距離ではないところまで森の奥に進んでしまった。ということで、アスマラの提案もあり、今日は森の中で野宿をしようと言う話になった。
幸いにも全員が森での野宿は経験積みであったので焚火などの設置もスムーズに進み、適当に見かけた鹿を食って今は交代で魔獣やらが襲ってこないか見張っている所。
こういうのやってて思うのだが、人の順応力って高いなって思う。普段の寝床なら、少し枕が変わったぐらいで寝れなくなったりするのだが、こういう場所とかにくると、関係なく熟睡できる。生存本能とかいうのが働いてくれているのかな?
それにしても、夜の森は怖い。月明りも届かず、茂みの向こうは真っ暗な闇。正直、おばけが出そうで怖い。
そんな歳してお化けが怖いのかって? ああ怖いさ。おばけって実体がないっていうのが相場じゃん? 実体がない相手をどうやって倒せというのかね?
まあ、お化けは兎も角、夜に活動する獣は多い。その分危険度は跳ね上がる訳で当たり前だが気を付けなければいけない。熊とかに来られたらちょっと生きて帰れる気がしない。まあ、既に一頭とバトって倒してるんだけどね。流石に二体目はキツイところがある。
虫の囀りや獣の遠吠えなどが聞こえてくる。一人だけ起きて、見張りをしているというだけなのに、仲間が近くにいるというのに孤独感が襲ってくる。
一時期、俺を育ててくれた人が言っていた「他人付き合いは大変だが、それ以上に孤独は辛いぞ。」と。その気持ちが少しわかった気がする。
冒険に出かけるとき、多分俺にこいつらは付いてこない。
頭では分かっている。俺が進む道はお先真っ暗、破滅まっしぐらの一本道。届かない目標は人を破滅させる。
あー。ダメだな。ネガティブになってやがる。
何が破滅だ。自分で信じれない物を実現できるわけがないだろ。自信のない俺は今日で終わりだ。一度決めたなら覚悟を決めろ。
少なくともそれが今の俺にできる魔王討伐への第一歩だ。
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