GW記念・筒井康隆ファンあるある漫才(笑)

夢美瑠瑠



 「こんにちわ。文芸評論家のゴンダバンジです。意匠箪笥にゴン!(客、笑う)」


 「ボケ担当の阪田三吉です。ナニワの阿保のど根性見せたるぜー(客、拍手)」


G「今日は大作家の筒井先生についての漫才をワテラでやるという企画らしいねんけどな。 君と同じ大阪出身やね?筒井先生は?」


S「ワシは「桂馬の馬という字しかわからん文盲」とか思われているらしいけどな。筒井先生のファンなんやで。アインシュタインかて劣等生で、「語彙は300語」とか言われてたしな。人を見くびったらあかん。」


G「ほお。筒井先生で好きな作品あるかね? ワテは、そうやなあ、月並みやけど「家族八景」かなあ。最初に読んだ筒井先生の本なんや。文体のクールな感じと醒めた人間観察の鋭さでいっぺんにファンになりました。そのあと筒井先生の本はありったけに買って読んだよ。未だに唯一無二のアイドルやな」


S「そうか。あんたもツツイストか。「あんたのバラード」はツイストやけどな?笑 ちょっと前にはそういうマニアックなファンが多くて、…?俺はな、「俺に関する噂」やな。一番に筒井先生らしいブラックジョークとアイロニー、諷刺精神が横溢していて、俺はこれが一番好きやなー。まあ、どの本にもそれぞれ良さがあるけどなー」


G「筒井先生は、カフカとヘミングウェイに傾倒していて、若い頃には「ヘミングウェイの文体で行動していた」らしいで。ヘミングウェイはアメリカンハードボイルドの直系の元祖かな?筒井先生もハードボイルドな感じは強いよな。「おれの血は他人の血」も、ハードボイルドの傑作やろね。そこにもひとひねりSFのアイディアが混じっているのが筒井流やな。」


S「初期の短編とか長編にもいいのは多いよな。「東海道戦争」とか、「お紺昇天」、「睡魔のいる夏」、「遠い座敷」、「レモンのような二人」、「ラッパを吹く弟」…そういうロマンチックなテイストの延長に後年の「私のグランパ」とか「愛のひだりがわ」があるんやろうなあ。櫟沢美也ていう筆名があったりしたよな」


G「時をかける少女」は、まあジュブナイルやけど、一番有名やろね。フランスで翻訳されてバカ売れしたけど、名前の末尾がAやから女性と思われてたとか?筒井先生の法螺話かもしれんが笑 」


S「「文学部唯野教授」も、エポックになってるなーまず筒井先生にしか書けない傑作やなー「噂の真相」に連載していたコラムとかと同様に、やっぱりスキャンダラスな 、ジャーナリスティックなところを隠さないところが先生らしいなあ? 柄谷行人ていう評論家が、大学では干されていたり、そういう話題に事欠かない。「大江健三郎氏が文壇バーとかで孤立している」なんて「アホの壁」で暴露していたりした。

こういうのはまあ、「大いなる助走」に典型的やけど、筒井先生の権威や偽善を嫌う一種の良心?義侠心?の発露じゃないかな・本当の弱者には先生は優しいからな」


G「文学で言うと、ラテンアメリカ文学への傾倒も、「戯作者・筒井」の真骨頂やな?いつも最先端の潮流の流行を見逃さないアンテナというか…ただ、「いくつになってもドタバタを書いていたい」とかいう、黄綬褒章受章の時のコメントとかに単純に騙されていては、落とし穴にはまるぜ? 筒井先生の小説世界にはそういう深淵が隠されているんや?そやろ?」


S「俺のテーマ曲の「王将」ていう歌は、「吹けば飛ぶような将棋の駒にかけた命を笑わば笑え」というところが、歌い出しで、大阪的な反骨精神がむき出しやろ?筒井先生の小説の一番根っこにある優しさとか反社会性は、つまりは屈折した人間愛なんや。小松左京さんにも通じるような、底抜けの楽天性と、うらはらな虚無と笑いやな。それ自体が極限のヒューマニズムで…」


G「そや。それが例えばサルトルのヒューマニズムにも通じているのや。ゼロからの大衆のコンサイエンスの告発やな?いわば」


S「長なるさかいにそろそろなぞかけで締めようか? 筒井先生と掛けて、…SFと解く」


G「そのココロは?」


S「糞加賀苦。空想科学。」


G「才媛のフェイクなショーやな。Science Fiction」


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GW記念・筒井康隆ファンあるある漫才(笑) 夢美瑠瑠 @joeyasushi

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