夢から覚めたら、見知らぬ女子高生

セレンとセシウム

夢から覚めたら、見知らぬ女子高生

 三月上旬。

 東京某所のとあるカフェ。

 部活動を終えた二人の高校生が、丸いテーブルに集まっていた。

 その二人は、菜々野ななの天来てんらい菊野きくの咲也さくや

 お揃いの金髪ショートヘアーした男女の高校生三年生のカップル。

 小学生の時から同じ学校に通い続けた幼馴染みだ。

「ズズズッ……ふうぅ……いつもの飲み慣れたコーヒーだな」

「この味がいつまで続くといいわね……」

「ああ」

「そう言えば、もう直ぐ卒業式が近いわねぇ」

「おい、今度こそ、別れちまうのかよ! 」

「ううん。同じところに暮らせ問題ないわ」

「それはよかったぁ。また会えるな! 」

「うん! 」

 咲也と天来は、それぞれ実家の方へ帰って行った。


 天来は、パジャマに着替えてベッドで寝た。

 すると、夢の中に、咲也の姿が現れる。

「おーい! 咲也ー! 」

「おはよー! 天来! 」

 ブレザー姿の二人が近づいたその時。

 天来の胸からグサッとと言う音が鳴った。

「ぶふぉっ………………」

「咲也は、渡さない…………」


「ぶふぁっ! 」

 天来が、夢から覚めた。

「ううん? 」

 なぜ、現れたのであろうか?

 白い扉の前にブレザー姿の女子高生が座っている。

「ふふん♪」

「うーん…………」

 天来は、無理に刺激しないようにブレザーに着替えた。


「いってきまーす! 」

「いってらっしゃーい! 」

 朝食を終えた天来は、黄色いエプロンのお母さんに手を振った。

 そして、三つ目の十字路で咲也に出会う。

「おはよー、咲也! 」

「おはよー、天来! 」

 すると、天来の胸からグサッとと言う音が鳴った。

「ぶふぉっ! 」

「咲也は、渡さない! 」

「ははぁ…………」

 現れたのは、天来の部屋にいた女子高生。

 腕を引き抜かれた天来は、血まみれの胸元を押さえながら倒れ込んだ。


「ぶふぁっ! 」

 天来が、再び夢から覚めた。

 天来は、胸元を確認する。

「ふうぅ…………」

 さっきのは夢だったのだろう。

 天来は、安心してブレザー姿で登校した。

 しかし、三つ目の十字路で再び咲也に出会う。

「おはよー、咲也! 」

「おはよー、天来! 」

 しかし、またもや胸を見知らぬ女子高生に突き刺された。

「ぶふぉっ…………」

「咲也は、渡さない………」


「ぶふぁっ! 」

 天来は、再び夢から覚めた。

「よし! 」

 ブレザーになった天来は、二つ目の十字路を選ぶことにした。

 そして、二つ目の十字路。

 今度は目の前から、見知らぬ女子高生が天来の胸を腕で突き刺した。

「ぶふぉっ…………」

「咲也は、渡さない…………」


「ぶふぁっ! 」

 天来は、再び夢から覚めた。

 残すは、一つ目の十字路。

 しかし、どの十字路へ行っても見知らぬ女子高生が現れるだろう。

「…………うん…………」

 天来は、見知らぬ女子高生が現れるのを覚悟で投稿をすることにした。

 行っては殺され、行っては殺され、行っては殺され、行っては殺され。

 この無間ループは、天来が本当に死ぬまで続いた。

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