第3話

「ねえ、雁夜さんって北田君とどんな関係なの?」

「あ、それ私も知りたーい。」

「もしかして彼女だったり?」


俺の隣で南那が他の女子のクラスメイト達に問い詰められているけど何故か南那は困惑するでもなく嬉しそうに俺との思い出をクラスメイトに語っている。クラスメイトも大人しく南那の話を聞いて盛り上がっている。


一方で俺の席の周りは……


「おい、北田!なんでお前が雁夜さんに抱きつかれてんだよ!」

「彼女か!?彼女なのか!?」

「せっかくフリーの美少女が転校してきたと思ったのに!」


ほとんどが男子からの怨嗟の声だった。皆俺に詰め寄って女子みたいに事情を聞くわけでもなく何でお前がというような声。そんなこと言われてもなぁと俺が思っていると、クラスメイトと話し終わったのか南那が俺の腕にくっついてきた。


「皆そんなヒロ君を責めないで下さい。私は小さい頃にヒロ君に助けてもらったのがきっかけでよく遊んでいたことがあるだけですよ。ですから、付き合ってはいませんよ。」


(((まだ……?)))


俺含めた皆、南那の言葉に疑問を持ったが、それから程なくして授業が始まりいつもの日々に戻った。


しかし、学校で南那の俺に対するスキンシップは少し激しすぎると思うほどだった。休み時間の度に俺に話しかけて俺と肩がくっつくほどの距離まで移動したり、昼食の時間には自分の弁当から一つ具を取り出して俺に食べさせようとしてきた。それは流石に…と断ると南那は不満そうな顔をしていたがしょうがない。


再会して嬉しいのは俺も同じだが、これは無理だという境界を南那と決める必要がありそうだ。



「それじゃあヒロ君今日は一緒に帰りましょう。」


全ての授業が終わった放課後、南那はバッグを持って俺に共に帰ることを提案してきた。それ自体は別に問題はないのだが、南那は大丈夫なのだろうか?


「え、でも俺の家、南那の家と結構遠いかもしれないぞ。」


「ここから歩いて行ける距離ですよね。なら私もそうなので近いと思いますよ。」


「そ、そうか…」


「はい!」


何故だろう、久しぶりに再会した南那は昔の奥手だった性格と違って押しが強いような気がする。特に俺と一緒にいる時は何か圧のようなものをよく感じる。


南那の要望もあって俺と南那は二人で帰っていた。途中途中歩いている時に南那が俺との昔の思い出を話していた。今となっては場所も何もかも変わってしまったが、それでも俺と南那は一緒にいることは変わらない。二人でそんなこともあったな。と笑いながら話していたらあっという間に俺の家に着いた。


「南那、ここが今の俺の家だよ。」


「あ、ここなんですねー。ここなら私の家から歩いて10分ぐらいですね。」


「割と微妙な距離だな…」


「でも前と比べものにならないぐらい近くなったんですよ。」


「それはそうだな。また毎日南那に会えるようになっただけ良かったか。」


「はい。今日からは一緒ですからね。」


南那は俺に向かって微笑みながら言った。ずっといられるかは分からないが、こんな日々が続けばいいとは思っている。


「じゃあ改めてよろしくな、南那。」


俺は南那に手を差し出して握手を求めながら言った。遠回しにこれからも仲良くしてくれるといいなと言っているようなものだ。


「はい、これからもその先もずぅっとよろしくお願いしますねヒロ君。」


南那は俺の手を取ると、まるで大切なものを保護するように両手で包み込み、それを自分の胸ぐらいの高さまで持っていき、俺に向かって嬉しそうな顔をしたまま言った。





—————————————————————

ヤンデレの解像度が低いかもしれませんね。

一応、遠回しにそれっぽい言動をさせているのですが、分かりにくいかもしれません。




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小さい頃に俺がいじめから助けた内気な少女は再会したらヤンデレになってました 匿名(tokuna) @aka186

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