第3話 マリファナと不動明王

休み明けの仕事が始まった


行くのがだるくて最悪の気分だ

仕事いきたくないー 毎回そんなことを思ってる

何かを変えなきゃ 行動しなきゃ

でも他の人も嫌なのはみんな一緒だ

そう強く思い出勤する

人々はなぜ働くのだろう そんな哲学的な事に思いを馳せながら電車に乗る

家族の為 生活のため 私は何の為に働くの考えてみた

私は無人島購入の為だ!だけどこの仕事をやっていても購入するのは不可能だ

ということは今の仕事は働いても意味ないと気づいた


何かが吹っ切れた瞬間だった 

私はその日からずっと働いていた職場をバックれた

会社とは逆の方向の自分の家に戻り始めた

電話が何回かなった

たぶん会社だろ 気にもしなかった

もう給料も入ってこない 今ある口座残高は

200万ちょっとだ 

とりあえず生活はできるな

ビルのガラスに映る自分の姿が目に入り人混みの中立ち止まった

他の人々が違う生き物に見えた


都心から私の住んでる奥多摩までこんなに清々しい気分で向かうのは初めてだった


家に帰ると会社にメールをした


"今までありがとうございました 今日で勝手ながら退職させて頂きます 必要なことがあれば

私の住所に郵送やらなんやらしてください

最高にくそみたいな仕事を今までありがとう"


社会人とはかけ離れた文言に私はコーヒーを吹き出して狂ったように笑った


ひとしきり笑った後胸の奥から不安が押し寄せてくるのを気づかないふりをした


香里「自由だ これが自由」


初めて小さな独り言を呟いた


おもむろに携帯の画面を開きテレグラムを使いまやさんに電話した


香里「今の仕事辞めました 辞めたというより勝手にバックれました」


まやさんは笑っていた


まや「いいじゃないの しばらく休みなさいよ」


香里「今日カフェか何かいきませんか?」


まや「今日本にいないから明後日ぐらいには帰るからそしたら連絡するね」



えーまやさん外国にいるんだ何やってんだろ不思議な人だな



この日も夕方になり散歩に出かけた

いつもとは明らかに川沿いの景色が違って見えた

なんか全部がキラキラしている


さあ自由だ何をしよう そんなことを考えるといつもの散歩が100倍楽しくなってきたぞ

そんな時に目の前からヤンキーカップルが歩いてきた

すれ違い様にジロジロ見られて怖かった

腕にタトゥーが入っていた


私は真面目に生きてきて彼等のような人種とは関わりがなくいつも避けていた


まやさん早く帰ってこないかな また天麩羅屋さん行きたいなあ 


家に帰りやることが無くなり夢の無人島を見ていた 


私は無人島を買って何がしたいのか目的がなかったのでそれについて色々考えることにした


野菜や果物育てて自給自足をしてみたいなー

電気ガス水道ないとどんな感じだろ

楽しそうだな

サバイバルの知識を身につけようとYouTubeで自給自足やサバイバル系の動画をみて夢を膨らました


それから数日が経ち まやさんから連絡がきて

ご飯を食べに行くことになった


今日はお寿司屋さんに来た


香里「めっちゃおいしいですね 職場の上司に一度回らないお寿司さん連れていってもらったんですけどこの店はレベルが違いました」


まや「良かった いっぱい食べましょ 今日は香里ちゃんの退職祝い」


お寿司を食べながら香里はあの話を切り出した


香里「前いってた仕事の話聞かせてください」


まやは食べるのをやめて香里の目を真っ直ぐみて答えた


まや「マリファナの栽培と販売 種の買い付け

液体大麻の製造や加工品の製造よ」


香里「マリファナ!? 薬物じゃないですか

めっちゃ法律で禁止されてるし」


まや「実際薬物ではないけどね まあ日本では薬物か 私ははやい系は扱わないマリファナだけ」


ハヤイ系? なんじゃそりゃ そんなことより

こんなおばあさんがマリファナの売人かよ

びっくりしすぎて寿司の食べるスピードが上がった

マリファナって若い子達の間で流行ってるやつだよな こんなおばあさんからみんな買ってるのか?


香里「まやさんマリファナの売人に見えないですね」


まや「私は売人ではないわよ 小売はしてないから それより仕事手伝う?」


香里「絶対捕まりますよね?」


まや「捕まると何がどうなるの?なんか問題あるの?」


香里「え だって刑務所入ったり怖かったり」


まや「刑務所入ると何が問題なの?」


香里「え 前科ついて普通に働けなくなったり」


まや「刑務所出てきてからまた同じことやれば普通の仕事じゃないから前科なんてあったって問題ないじゃない 」


まや「まあ私は20年近くやってるけど一回も捕まったことはないけどねー でも綺麗事は言わないよ 捕まる可能性もある やる?」


香里は普通ならこんなことは絶対やらないが

まやさんに謎の魅力を感じ彼女と一緒にいたいという気持ちが強く彼女を手伝う事に決めた


香里「やりたいです 無人島買うまで」


まや「いいじゃない大きな目標があって まあでもすぐ買えると思うけど よし!じゃあ今日は香里ちゃんの就職祝いだ サウナ行ってから飲みに行きましょう」


2人はスーパ銭湯的なサウナに来た

服を脱ぎ始めた香里はチラッとまやさんを見て

ビックリした 背中から太ももの裏にかけて大きな刺青が彫られていた 


香里「うわあすごいですねそのタトゥー!なんの絵ですか?」


まや「タトゥーじゃないわよ刺青  不動明王だよ」


香里「すごい綺麗 どんな意味があるんですか?」


まや「和彫の刺青はね 意味を説明するとその願いが叶わなくなるの だから内緒」


そういうとそそくさと中に入っていった


川沿いで見たヤンキーカップルのタトゥーとは違い怖いという感情はなくものすごく綺麗に見えた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

緑の風 damn you @damnyou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ