第31話

そこへ、デザイナーの実さんがやってきた。


「すみません…ブルーベリーさん、衣装直したいところがあって」


「と言いますと」


「…あのですね、沖縄にいる美月みつきさんが衣装とか作ってるんですけど、うまく連絡とれてなかったみたいで、その、イメージと全然違って!いや、言わなくてもわかるじゃんってとこなんですけど、美月さんわかってなくて…」


言わなくてもわかる…


瞳からのメッセージ


「なんで?」


…は。


そうだ…瞳は、私の知り合いには会えない。そんなのわかってた。はずなのに、私は失念していた。


それなのに…じゃあ、もしかして…


「なので、今日は撮影できないかも…」


「帰ります」


「あ、はい…」


「お疲れ様でした」


荷物をまとめて、さっさと通りでタクシーを拾う。家の近くで降りて、慌てて帰る。


どうしよう。


私、おかしいよ。


玄関に入ってすぐ、電話する。


…出ない。


瞳は素性を知られたらよくない。なのに、彼氏がいることも、ましてや瞳の顔まで見せてしまった。これでもし、社長の奥様が調べてたとしたら?


もう、瞳と会えない?


連絡もできない?


急にお別れなの?

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