第9話 怪我治療

Side:フロー

 また、浮浪児の死体だ。

 守備兵を止めて買い取る。


 真名は『莉羅羅の戸鳥居井泉りららのとりいいせん』だな。

 さて死因はたんこぶがあるから恐らくこれだな。

 脳内出血だと思われる。


#include <magic.h>

#include <stdio.h>

#include <stdlib.h>

extern void heal_injuries(char *real_name);

extern void cure_completely(char *real_name);

extern void revive(char *real_name);

void main(void)

{

 heal_injuries("莉羅羅の戸鳥居井泉.body"); /*怪我を治す*/

 cure_completely("莉羅羅の戸鳥居井泉.body"); /*完治*/

 system("move C:\\RecycleBinFolder\\莉羅羅の戸鳥居井泉.soul C:\\Users\\莉羅羅の戸鳥居井泉"); /*魂を呼び戻す*/

 revive("莉羅羅の戸鳥居井泉.body"); /*復活*/

}


 これで良いかな。


「うぇいあお」

「ろれつが回らないのだな。これは重症だな」


#include <magic.h>

extern void brain_function_recovery(char *real_name);

void main(void)

{

 brain_function_recovery("莉羅羅の戸鳥居井泉.body"); /*脳の機能を回復*/

}


「どう?」

「あー、良くなってきた」

「名前は?」

「眠そう」

「いまも眠そうだね。宿が取ってあるからゆっくり休むと良い」

「俺っ、どうなってたの?」

「死んでたから生き返らせた」

「そう、死んでたのか」

「生き返ったことは誰にも言ったら駄目だ。そうでないとさらわれる危険がある」

「信用できる奴しか言わないよ」

「それで良い」


 さらわれても目の届く範囲なら助ける。

 俺の手の届く範囲は広いんだ。

 世界のファイル情報で検索を掛ければ、いる場所は分かる。

 転移で助けるのも可能だ。


 知り合いの生存確認のプログラムを作ろう。


#include <stdio.h>

#include <stdlib.h>

void main(void)

{

 FILE *fp;

 int i;

 char fname[200];

 char *friend_list[4]={

  "彼に聴く嘉",

  "知魅ら思惟",

  "吸い紙八素医",

  "莉羅羅の戸鳥居井泉"

  }

 for(i=0;i<4;i++){

  strcpy(fname,"C:\\Users\\"); /*文字列にファイルの場所を入れる*/

  strcat(fname,friend_list[i]); /*文字列にフォルダ名を入れる*/

  strcat(fname,"\\"); /*文字列に\を入れる*/

  strcat(fname,friend_list[i]); /*文字列にファイル名を入れる*/

  strcat(fname,".soul"); /*文字列に\を入れる*/

  fp = fopen(fname, "r"); /*魂のファイルを開く*/

  if (fp == NULL) {

   printf("%sは死んでいる\n",friend_list[i]); /*死亡通知*/

  }

  fclose(fp);

 }

}


 うん、こんな感じだ。

 ユーザーフォルダに真名の人間の魂があるか調べている。

 それで死亡チェックとした。


Side:眠そう


 ベッドの上で寝るなんていつ以来だろう。

 心地良過ぎて眠れない。


 フローから止まらない限り夢は近づくと言われた。

 俺は安らぎの空間を与えたい。

 浮浪児が泊れる宿屋を作るんだ。

 それには土地と建物が要る。


 浮浪児には途方もない遠い目標だ。

 でも生き返ることだってできたんだ。

 それは奇跡だと思う。

 じゃあ、宿を作るぐらいわけない。


 まず手始めに、誰もいない土地だな。

 スラムに行けばいくらでもある。

 建物だってぼろいのであれば既に建てられた物がある。

 なんだ手直しすれば良いだけか。


 路地裏も厳しいが、スラムも厳しい。

 顔役にお金を払わないといけないと聞いた。


 お金が欲しい。

 何か手はないかな。

 考えているうちに眠くなった。


 気が付いたら朝だった。

 毎日無駄にしている物があるじゃないか。

 魔力だ。

 暖を取るために、火を点けるぐらいしか使わない。

 勿体ない。

 魔法で何を作ったら良いんだ。


 物が何で出来ているのかなんて知らない。

 知っているのは眠った時の安らぎだけ。


 ああ、安らぎを売れば良いのか。


 猫が庭にいたので暴れるのも構わずに抱きかかえて、魔法を掛ける。


「【マナ5を安らぎに変えろ】」


 猫が安心して眠った。

 警戒心の強い野良猫が眠るなら、眠らせ屋は良い商売になるかも。


 まずは夜泣きの赤ん坊を眠らせることをしよう。

 ああ、うっかりだ。

 俺ができるぐらいなら他の人は簡単にできる。


「調子はどう」


 フローが様子を見に来た。


「少しまだおかしいけどだいぶ良くなった。眠らせる魔法って難易度は高いのかな」


 フローの魔法は凄い。

 生き返らせるぐらいだからだ。

 なら、聞いてみる手だ。


「難しいと思うよ。普通の人は脳の仕組みが分からないから、魔法のイメージができないと思う」

「簡単なのに」

「できる人はみんなそう言うんだよ。なんでこんな簡単なことができないってね。それが才能ってものだよ」

「俺にも才能があったの。嬉しい」

「眠りの魔法はモンスターにも効くんじゃないかな。かなり有効な魔法だ」


 眠るなんて誰にでもイメージできそうなのに。

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