ルイが王に

「大変だ、何とかみんなを治めないと。」

「みんな頭に血が上って、話を聞いてくれそうにないわ。」

「私に任せて下さい。」

ミハエルとケディーの言葉にハミルトン警部はそう言うと、懐からピストルを取り出し、空に向けて、パン!パン!

広間に銃声が響き、みんな驚いてこちらを向きました。


「私はミハエル、みな落ち着いて聞いてほしい!父も母もこんな事は望んでいないはずだ!」

「ミハエル、、、!」「ミハエル様だ!」「ミハエル王子!」

「ルビーは牢に閉じ込め、法の裁きを受けてもらう。そして、私は一度国を出た人間だ。

ここにいるルイに後を託し王位を譲ろうと思う。彼ならばこの国を良いように導いてくれると確信している!」

ミハエルが宣言をするとあちこちから「ルイ王!」「ルイ様!」と歓声が上がります。

ルイは驚いた顔をしました。

「僕はルビーの息子なのに、、、どうして」

「僕はお忍びでよく城を抜けていたからね。君の事もみんなは話していた。

僕かルイが王になれば国は良くなるだろうってね。」

「、、、いいのかい?僕が王になっても。」

「僕は政治には興味が無いし、君の事もよく知っている、、、国のみんなもね。

君を王様にすると言っても誰も反対しないだろう?さあ、ここからは君の仕事だぜ。」


ミハエルの言葉に頷き、ルイが兵士に命じました。

「ルビーを牢へ連れて行け!」

統制を取り戻した兵士達がルビーを連れていきます。

「お前は私の息子なのに!?王になるなんて認めない!兵士達わらわが女王よ!やつらは王位を奪う反逆者よ!早く放せ!!」

ルビーが喚き散らしますがルイも誰もルビーに構わず、ルビーは兵士に連れて行かれました。

見届けてからルイはミハエルに話します。

「有難う、、、ルビーの事。母が君の両親にした事は到底許される事じゃない、僕も親子の情なんてとっくに無い。

それでも殺さないでくれた事に感謝するよ。」

「そうしたらルビーと同じになってしまうからな。ルイ、この国を頼むよ。」

「ああ、任せてくれ。」


ハミルトン警部がやってきて、

「これでこの国はきっと良くなる。もう怪盗モモンガなんて現れないでしょう。」

ケディーは怪盗モモンガの衣装を着ていました。ケディーが顔を強張らせます。

「まだケディーを捕まえようとしますか。」

ミハエルがハミルトン警部に聞きますが、

「彼女は怪盗モモンガではないでしょう?彼女はルビーに狙われていたのだから、変装が必要だったのでしょう。

、、、そういう事にしておきますよ。働き詰めでしたのでね。休暇を取りますよ。」

ハミルトン警部は二人に目配せをしながらそう言い、去っていきました。


二人はフィリップ神父達との再開を喜んだ後、ミハエルは、

「ケディー、もうルビーから逃げなくてもいい、

ダイヤモンドシティーで、ジョーが言ったみたいに何かお店をしながら暮らしてもいい、

みんなを呼んで結婚式をやり直してもいいね、教会や子供の家のみんな、豆じいやジョー、ラモスも呼んで、、、

トルコ島でもゴールド島で暮らしてもいいね。」

「そうね。でも先ずは、、、」

「ああ、僕達の子供を迎えに行こう。」


二人は抱き合い、人目も忘れて口付けを交わすのでした。

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ケディーの生涯 二章 街田小夜 @machidasayo

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