ラモス

「ジョーって無神経ね。」

ケディーが言うとミハエルが、

「悪い人じゃないと思うよ。心配してくれるし。」

獣道を歩く二人、突然何か気配を感じ、立ち止まります

「ジョーが言ってた連中かな?」

「そうかもね。」

ミハエルとケディーはそう言いながら、ミハエルは剣を手に、ケディーも身構えます。

「誰だ?出てこい。」

「解かってるのよ。そこに居るのは。」

ミハエルとケディーが呼びかけると、草むらからザワザワしていたかと思うと、一人の老人が出てきました。

「あなた達こそ何者です?この島に何をしに来た?」

老人の問いかけにミハエルが答えます。

「僕はミハエル、こちらは僕の妻ケディー、訳あってこの島まで逃れてきたんだ。

そういうあなたは昔この島に来たという男女の片割れか。」

「そうです。わしはラモスと呼ばれておる。悪さをしに来たのでないなら、あなた達には、手は出さないよ。」

「もちろん、そんなつもりはないよ。」


二人はラモスに、ダイヤモンドシティーでの事、ルビーから逃れトルコ島へ来た事、

そこからも追われこのゴールド島に来た事を話しました。

「なるほど、苦労されましたな。わしも国を追われ逃げてきたのです。」

そうしてラモスも自分の身の上を話し始めました。

「わしは此処とは違う遠い国に居ました。そこで動物園で働いていたのです。

しかし、戦争が始まり、動物園は取り壊され動物達は殺処分されてしまった。

わしは戦争に反対するようになったが国に対する反逆として国を追われる事になった。

知り合いを頼り、将来を誓った女性と共にこの島へと逃れてきたのです。

しかし彼女は結局島での暮らしに馴染めず島を出てしまって、、、」

ミハエルは

「あなたも逃げてきた人なのか。」

ケディーは、

「ずっと一人で居たの?淋しくは無い?」

「いえ、島の動物達と仲良くなりまして。」

ラモスはそう言うと、ホウホウと動物の鳴き声のような声を出し、周りから動物達が姿を表しました。

ミハエルは動物に慕われるその姿を見て、

「うん、良い人みたいだね。」

ケディーは

「色んな人が居るものね。」

二人はラモスを連れ家路に辿り着いた。

「この家はあなたのものかい?」

「連れてきた女性と暮らす為に建てたもので、結局叶わずそれ以来ほったらかしになっていましたのじゃ

あなた達が使うなら家も喜びましょう。」

「済まないね、有り難く使わせてもらうよ。」

家ではジョーが家をキレイにしてくれていた。

ケディーは思わず感心します。

「すごい、ただ無神経なだけじゃなかったのね。」

「悪かったな、こういう性格なんでね、、、で、そのじいさんは?」

二人はジョーにラモスの事を話しました。

「、、、なるほどな。俺はジョー、この二人を連れてきた船乗りさ。」

「ラモスですじゃ、荒れ放題でしたでしょうに、見事にキレイになりましたな。」

「これで、安心して住めるわねミハエル?」

「さて、俺は戻る。島に居たってのも悪い奴じゃなさそうだし、船を放っておく訳にも行かないからな。」

「キレイにしてくれて有難う、ジョー」

「助かったわ」

「わしもこれで、何時も島のこの辺りにおりますので。何かあったら声を掛けてくだされ。」

ジョーとラモスはそれぞれ戻っていき、二人は後ろ姿を見送るのでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る