小6前編 妹VS姉の勘 ※本当のテレパシーは使えません。

 これは、私たち双子の誕生日の裏側のお話。

 フィクションじゃないですよ。実話!本当にあったんです!

 嘘じゃないですよ?

(小6編は前編後編分かれてます)


 ―――――


 もうすぐ、誕生日がやってくる。

 もうすぐとは言っても、まだ1か月前。


 小5のときは一週間でギリギリだったから、今回は余裕をもって1か月前から準備を始めることにしたのだ。

 今年も姉に誕プレを用意してあげたいけど……。

 小5の真夜中の闘いを思い出し……いやっ、あれは時間がなかっただけだしっ!あれ?でもあれって姉に見つからないようにって夜にやったんだよね?

 ああ、今年ももしかして真夜中の闘いに……。


 さすがにバレる!

 前もバレかけたし……(このときの私、まだバレていたことを知らない。幸か不幸か、まだ忘れていると思っている)。


 とにかく!

 誕プレの内容だよ!今年も絵ってわけにはいかないよね?


 でも、絵、結構好評だったと思うんだけど……。

 今年もプレゼントを決めるのには時間がかかりそうだ。

 委員会の仕事をしている間に、結論が出る。



 ――よし、今年も絵でいこう!



 あのときから、また家の蔵書も増えた。

 今は100冊越え(このとき当時)。

 市の図書館にも通うようになったし、そこで借りた本の絵とか描けば……。


 と、何年たっても変わらない安易な考えで、小6の誕生日プレゼントは絵に決まった。


 姉がいない時間を見計らって絵を描く……けど、本当はそれが理想だけど、四六時中一緒にいるわたしたちには不可能だ。

 やっぱり今年も真夜中の闘いとなるのか……?


 でも夜中はきつい。寝不足になる。集中できない。


 去年、それが判明した。

 だからって堂々と描くのには勇気がいるなあ……。


 でも、仕方ないっ!

 今年は去年よりたくさんの絵を描くって決めたんだ!

 堂々と目の前で描いてやろう!


 と、ここでわたしたちの部屋の構図を説明しておく。

 向かい合わせに机があり、その隣にはベッド。

 とにかくここで注目してほしいのは、、ということ。


 でも、その間にはいろいろなものが置いてあったり立ててあったりするので、座った状態だとお互いの顔はほとんど見えない。これを利用して描けば……。


 ピカン‼とひらめいた瞬間だった。


 ―――――


 市の図書館に行ってきました。

 なんとか平静を装い、借りれる限界まで借りてきました。


 結構前に読んだ小説は久しぶりに借りたので、怪しまれないか不安だったけど、何とかごまかしておいた。


 でも、まだ納得いかないって顔してる気がするんだよなあ……。

 姉って怖いね……。

 私の考えがすべてわかってる気がして。


 ふう……。


 冷や汗をぬぐい、私は借りてきた本を読むふりをする(ホントに読みたかったから良かったんだけど)。


 これで材料はそろった。


 あとは描くだけだっ!

 今年は時間に余裕もあるし、ゆっくり丁寧に描けばいいプレゼントになるはず!


 うんうん、と一人でうなずく私は誕生日を楽しみに待っていた。

 今年こそは上手くいく、と喜んだ私だったけど、そのときの私はまだ知らなかった……。






 ――今年も敗北に終わる、ということを――

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