「絶対生きて。自殺しないで」って友達に言われた

Unknown

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自殺した友人が「Unknownは絶対生きて。自殺しないで」と俺に言った。俺は「わかった。生きる」と言った。


さっき、ふいにそのやり取りを思い出した。俺はたった一度しかない人生をゴミのように生きている。いい年こいて就職もせずに全てから逃げている。生きる意味なんて無いのは知ってる。でも俺が死んだら悲しむ人が何人か居てくれるから生きてる。家族や友達やカクヨムの読者が生きてるから俺も生きてる。亡くなった友達に「Unknownは絶対生きて。自殺しないで」と言われたのを今も一言一句すべて覚えている。なので生きていく。その友達からしたら、俺はこの壮絶で地獄みたいな世界を最期の時まで生き抜くに値する人間なのだろう。俺は現在、酒を飲みながら爆音でTHE BACK HORNの「ゲーム」を聴いてる。


さっきスーパーに行って酒と食料を買ってきた。そういえば今はゴールデンウィークだな。最近めっちゃ暑いので俺は半袖で過ごしている。Nirvanaってバンドのシャツを着てる。俺の素肌が丸見えになってる。俺の左腕の根性焼きの痕が何故か最近になってめっちゃくっきりとした色になって目立ってる。なんでや。例えるなら「どどめ色」だ。ちなみにスーパーでは缶チューハイを沢山買って、たまたま目に留まった「3種のチキンBOX」ってやつを買った。でかい器だ。その中に色んな種類のチキンが沢山入ってて、おまけにポテトも入ってる。良いおつまみが手に入ったぜ。今日はこれをつまみながら酒を飲む。本当はケンタッキーのオリジナルチキンの方がうまいが、ケンタッキーは高い。マックもどんどん高くなってるから、たまにしか食べない。俺はサムライマックとエグチとエビフィレオが大好き。


俺が頻繁に行ってるスーパーでは、よくカツ丼弁当を買ってる。割とボリュームがあって味もうまいのに税込321円とかでクソ安い。


ユーチューブとかテレビでうまそうな飯を見てると羨ましくなるけど、俺ってバカ舌だから、スーパーの食べ物で満足できてしまう。金の余裕もないしな。


近所にある酒屋では、手作り弁当が安く売られているんだけど、それがめっちゃうまい。唐揚げ弁当とかレバニラ弁当をよく買う。手作り弁当ってうまいよな。その辺の主婦のおばちゃんが作ってるんだろうと思うが、そういう人が作る料理が1番うまい。


俺の経済を圧倒的に圧迫してるのは、酒とタバコだ。俺が酒とタバコをやめたら、経済的にめっちゃ余裕が生まれる。でも辞められないんだ。酒もタバコも依存性がとんでもない。それに俺自身、酒とタバコのおかげで幸せに暮らせてる面も大いにあります。


この世の中、焼肉とかフライドチキンとか唐揚げとか、動物の肉が1番うまい。でもそういう動物は、育てて殺して捌いて加工してくれる人たちが居て初めて俺達の元に届くのだ。家畜を育てている牧場の人や、屠殺工場の人や、そのほかにも色んな人に感謝する必要がある。「いただきます」というニュアンスの言葉は日本にしかないらしい。食事を摂る際に命に感謝する文化は日本にしかないそうだ。「いただきます」という言葉を大事にしていこう。俺達が普段食ってる豚や牛や鳥や魚は、みんな人間の為に殺されてる。だから、俺達に出来ることはそれらの命を全ておいしく食べてやる事だ。命をおいしく食べることが我々に出来る最大の供養だろう。この世ははっきり言って弱肉強食。弱い奴は強い奴に食われる。そんな世界です。学校でのいじめ、会社でのパワハラ、家庭での虐待、それらはきっと永遠に消えない。だってどんな馬鹿でも親になれるから。その辺はやっぱり男の責任がでかいよ。男がゴムつければ大丈夫。安全日なんて無いと思った方がいい。無責任に命を作るな。ノリで命を作るな。命の重さを知れや。なんとなくノリでガキを作るな。ふざけるな。



日本ではよく「死刑になりたい」という理由で無差別殺人を起こす馬鹿者がいる。自殺したいほど思い悩んでいるけど自分で自分を殺す度胸はないから、他人に殺してもらいたいっていう甘えた魂胆なんだろう。


かく言う俺も、死刑になりたいと思った事がある。日本では3人殺したら基本は死刑になる。永山基準だっけな? なんかルールがあるんだよ。でも俺は人を殺すことなんて出来なかったよ。適当に街をふらついてると色んな人にすれちがう。その全ての人たちにたった一つの人生があり、ドラマがあり、さまざまな悩みがあり、親がいる。家族がいる。仲間がいる。身勝手な理由で他人の命を奪うのは最低の行為。


世の中には殺人以外にもっと簡単に死刑になる方法がある。例えば、大麻合法の国で大麻を大量に買いまくって、そのままシンガポールに入国すれば、あっさり死刑になる。シンガポールは世界で最も薬物に厳しい国だ。500グラム以上の大麻あるいは15グラム以上のヘロインの密輸で逮捕された人物は死刑になると定めている。



もう何もかもどうでもいいぜ。


高校の時に俺の同じクラスの友達が突然中退して、「俺はこれからホストとして生きる」って言ってた。そいつとは全く仲良くなかったから、そいつが今ホストとして成功しているかどうかは全くわからん。明るい奴だったから色んな人から好かれるタイプだとは思う。だが、はっきり言ってクソどうでもいい。


俺は現在ニートである。アパートに1人で住んでいる。精神障害者年金とか親の援助に頼って生きてる。


俺は知っているのだ。みんな、あえて周りには言わないだけで、色んな苦しみを抱えながら生きているって。あえて言わないだけで、世の中のその辺の一般家庭の中でも色んな苦しみがある。病気、障害、事故、その他色々。みんな些細なきっかけで気が狂ったり壊れたり病んだりする。それでもみんな必死に生きてる。ネットを見てれば、自分だけじゃなく周りのみんなも同じように苦しんでるってよく分かる。


俺が子供の頃に妹と一緒に通っていた習字塾のじいちゃんは、奥さんをガンで亡くしてから、酒にしか頼れなくなって、アルコール依存になって完全にぶっ壊れてしまった。今は施設に入っている。


俺は20才の時からアルコールに溺れまくっている。


アルコール依存症の寿命はだいたい50才前後と言われている。「中島らも」も「西村賢太」も大体そのくらいの年齢で亡くなった。俺も彼らと同じ轍を踏むと確信している。俺は今27才だから、人生の折り返し地点は過ぎてしまった。残りの人生で何かを生み出すつもりも無い。俺は色んな人から天才と言われたことがある。でもその才能は世の中には知られず、俺は1人寂しくアパートで孤独死する運命にあるだろう。


ここ2週間ずっと希死念慮と戦っていた。アパートにずっと篭っていた。敵は常に俺の中にいる。俺の脳や心が誤作動を起こして、俺を毎日殺そうとしてくる。10年飲み続けている精神薬は効いてるのか効いてないのか分からない。


気分が晴れ渡って鬱が治ったと思った数日後に、鬱がめちゃくちゃぶり返してきて、過去トップクラスの希死念慮に襲われた。鬱の代表的な症状の一つに希死念慮がある。簡単に言えば「死にたい」と考えて、それが頭からずっと離れない状態だ。まじで行動に移して死んでしまう場合もある。


アルコール依存症に陥った人はドーパミンを自力で生成する事ができなくなるという記事を昔読んだ。実際俺もそうなってしまった。酒を飲まないと脳のエンジンが全くかからなくて、シラフの時はずっと無気力でベッドに横になっている。精神薬を飲んで、ラジオ代わりに動画や配信を流してずっと目を閉じている。


そんな時、俺はとても死んでいると感じる。






終わり

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「絶対生きて。自殺しないで」って友達に言われた Unknown @unknown_saigo

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