第6話[会議]

〜現在地︰アジト〜

〜零夜視点〜


執務室を出て会議室へ向かう道中、レイテルから通知が来る、俺はそれをタップし見てみると、俺に連絡をして来たのは翠郎だった


零夜『どうした?』


翠郎に返信すると、即返信が来る


翠郎『いや、何があったのかって思って』


どうやら先程の凛音のメッセージに驚いたようだ、俺は『会議でその事を話す、先ずは会議室に来て欲しい』と返す、翠郎は『分かった』とだけ返信され、俺はそのままレイテルを閉じる


???「あ……あの……」


すると後ろから声がかかり、俺は後ろを振り向く


零夜「あぁ、魅零みれい


一般構成員の夕凪ゆうなぎ魅零みれい

何時もならこっちから話し掛けに行くと逃げちゃうのに、今日は珍しい


零夜「どした魅零」

魅零「あいや……その……」


言葉がどもってしまったようだ


零夜「あ〜……会議の件か?」

魅零「そ、そうです……」


やはり翠郎と同じく、会議の件が気になるのだろう、最近は会議なんかせず、組員の好きなようにやらせていたから、改めて会議という言葉が気になるのは当然だ


零夜「まぁ、行けば分かるよ」

魅零「あっ……そ、そうです……か……」

零夜「……もしかして、怖い?」


そう俺が言うと、魅零は図星だったのか、顔を下に向ける

俺はそんな魅零の頭に手を置き撫でる


零夜「そんな緊張しなくていいんだぞ、楽にしな」

魅零「うぅ……」


だが、やはり身構えているようだ


零夜「……まぁ、無理のないようにな」


俺は魅零の頭から手を離すと、魅零は顔を上げ、少ししょんぼりしたような表情をする

そんな顔されたらもっと撫でなきゃじゃんと思いつつも、「終わったら撫でてやるから」と言う、魅零は納得したのか頭をコクンと縦に振る


だが、目的地は多分同じなのだろう

俺と魅零は会議室へ向かう道を進む…のだが


零夜(気まづ〜〜〜!!!!!!)


魅零は極度のコミュ障であり、無言の時間が続く


零夜「あー……魅零、最近なんかハマってる事とかある?」

魅零「ふぇ!?あ、さ、最近は……え〜っと……その……あの……」


しまった悪手だったようだ、魅零がクソ程困惑している


零夜「あいや!無いなら良いんだ!すまん!」


必死に俺は取り繕う


魅零「あ!い、いえ!ハマってる事……ですよね…」

魅零「……か、観葉植物を……育ててます」

零夜「お、良いじゃん」

魅零「な、名前は、って言う名前です……」

零夜「お、おぉ……」


意外すぎる名前に驚きを隠せないが

意外にもしっかりした事に少し驚き、そして同時に、可愛らしい趣味でほっこりする


魅零「零夜さんは何か……し、してるんですか?」

零夜「俺は〜……なんだろ」


流れで俺も答えることになった

最近魅零と会話できていない、この話題でもう少し距離を縮めたい

…だから、魅零を少し弄ってみることにした

変な企みを考え、俺は魅零に顔を向け


零夜「……魅零の笑顔を見る事かな!」


そう魅零に向かい発言する

うん、俺何言ってんだろ

自分でも少し引くような言動をした事を後悔する、絶対魅零引いてるって


魅零「〜〜〜!!!???//////」


魅零の顔が紅潮していく


零夜「……魅零?」

魅零「さ、先行ってます!!!!!!」


そして魅零は驚いた顔をしながら俺を置き会議室へと向かう、ヤバい、確実にやり過ぎた

絶対魅零に次から変な目で見られるのが確定した


零夜「……ミスったぁ」


距離を縮めようとしたが、それが不発どころか、変な方向へ行ってしまったことに、俺は肩を落とし落胆する

だが、直ぐに姿勢を正し


零夜「いや、今は会議だな」


会議に集中と切り替える

頬を叩き、会議室へと向かう

会議室が近づくに連れ、人の声が大きくなっていく、俺はそんな会議室ドアの前に立ち

ドアノブに手をかけ、そのまま開く


翠郎「あ、遅いぞ零夜」

白兎「遅いぞ〜零にぃ」

零夜「待たせたなお前ら、凛音、全員居るか?」

凛音「はい、全員出席です」

零夜「おっけ、サンキュ」


凛音に欠席の有無を聞き、一番奥の席に腰をかける


天斗「……それで?さっきの凛音のメッセージはなんだ?」

叶翔「そうだな、どんな要件で会議を開いたんだ?」

仄「何かあったのかな……?」

秋月「零夜がお漏らしでもしたか〜?w」

零夜「黙れクソ秋月!!!!」


会議室内がザワザワとなって行く


白月「まぁ〜、今日はちょっと大切な話だよね〜?」


白月が俺に向かい言う


魅零「大切な話……?」

零夜「そうだな……」


零夜「……渋る必要も無いな」


俺はそう呟くと席を立ち、皆へと視線を向ける


そして、少し圧の入った声を上げる


零夜「単刀直入に言う」




零夜「絶帝の虎狼が、標的ターゲットを流星街……及び零夜組にして来た」

零夜「……これを聞いて欲しい」

凛音に先程のボイスレコーダーを机に置いて欲しいと言い、凛音は机にボイスレコーダーを置き、俺はそれを再生する


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


ボイスレコーダーを再生し終わり、先程の俺の言葉の内容を汲み取ると、会議室がザワザワと会話を水面のように広げていく


???「ちょっと待て、虎狼が何故?」

???「なんで……絶帝が……?」


困惑の声色を上げたのは忘霓ぼうげつ聖音せいねだ、困惑するのも仕方ないだろう、四大勢力の一つがこちらに攻撃の意図を示しているのだから

俺にも分からないと言うように首に横を振る


忘霓「……そうか」

天斗「………虎狼……」

叶翔「……」


皆の声が低くなっていく

無理は無い、「そんな顔するな!立ち上がれ!!!」と言うのも、逆に士気を下げる原因になるだろう

俺も顔を下げ、顔から冷や汗をかく

どうして零夜組が?どうして流星街が?

そんな疑問が湧き水のように出てくる

せき止めようにも止められない


もう、終わりだ


戦力差がありすぎる


どう足掻いても、""勝てない""








秋月「……んでよ、どうやって潰す?」


静寂の時、それを破ったのは秋月だった

皆共々困惑している、アイツ、まだ戦う気でいるのか?と


秋月「何しょげてんだよお前ら、虎狼にほぼ宣戦布告みたいなことされたんだ、こっちもお返ししなきゃ気が済まねぇだろ」


秋月「それともなんだ?ここであいつらが攻めてくるのをビクビクと待って崩壊の時を待つのか?それでいいのか?」


秋月「零細だとは言え、俺達はマフィアだ」


秋月「やられたら5倍にして返す、それがマフィアだろ」


秋月「ここで終わってたまるかよ」


秋月は、まだ戦う気でいる

だが俺はどうだ?

さっきまで凛音達に抗うとか言ってたのに

今になって怖気付いて、逃げようとして


情けない


今の俺を一言で形容するのなら、この言葉が最適だろう


何かを成し得るには、1歩踏み出さなきゃ行けない


それが、"今"なんだ


俺は顔を上げる


零夜「……お前ら、るぞ」


皆顔を上げ、俺の目を見つめる

秋月は「そう来なくちゃ」と言うように俺に向かいニヤニヤとしている


俺は立ち上がり、言葉を続ける


零夜「相手は絶帝の虎狼、その残虐性や狡猾性を見て、怖気付くのは当然だ」


零夜「だけど、それでも尚、立ち向かわなきゃ行けない時だ」


零夜「己の武器を手に取れ、るだけるぞ、零夜組の名を歴史の1ページに刻む時だ」


零夜「……怖いのは分かる、俺も怖い」


零夜「……だけど、そんな俺に、力を貸して欲しい」


零夜「……頼む」


俺は頭を下げ、数秒程沈黙が続く








叶翔「……どんな作戦で行く」

忘霓「真正面は流石に無理だろうな」

仄「やっぱり戦力を削がなきゃ……」


静寂は、皆の声により砕かれた

俺の声が届いた、と言う事実に涙を浮かべる

すると秋月が「何泣いてんだよ、これからが本番だろバカ」と俺に耳打ちする、俺は涙を拭い、「あぁ、やってやろう」と勢い良く言う


蒼羽「……だけど戦ると言っても、流石に人数不利すぎる、戦力を削がなきゃボスにすら辿り着けないぞ」

天斗「だな、流石に人数不利だし、向こうにも幹部が居るはずだ」


構成員を掻い潜り、幹部とボスを倒さなきゃ

1度凌げても、また襲ってくるだろう


ならば、今回の戦いで"殺らなきゃ"行けない


ボスと幹部の抹殺、つまり……


四大絶帝の一つ、"虎狼組の壊滅"を、成し遂げなきゃ行けない


だが虎狼組は、全国各地に支部を置いている

支部全部隊が本部に集まると、3万人が一気に襲ってくる……

本部の人数は1万5000人と予測されているが

組員が本部だけでも、勝機が見えない……


白兎「……うーん」


忘霓「……人数を無視して、ボスを殺すとかしない限り……キツそうだ」


……人数を無視して……ボスの殺害……


………ボスを殺せば、統率する奴が居なくなり内部崩壊が起こる


そうすれば、虎狼組は自然と壊滅する……


なら、を行えば








──そうだ、これだ










まさに青天の霹靂、脳内にアイディアがぶち込まれた


叶翔「……どうした、零夜」


零夜「……これが上手く行けば……」






虎狼を










俺は席から立ち上がり、口を開く


零夜「お前ら、俺達零夜組は」










零夜「虎狼組を、襲撃する」

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