扉の向こうへ

 俺の友人は自分で扉を開けられない。開けると全部異世界に繋がっちまうからだ、本当に可哀想な奴。何気なく開けた先で竜に睨まれ空から落ちかけ巨人の足がドスンと鼻先を掠めて通る。慟哭と呼ぶに相応しい泣き方をしてる人間を俺はこの目で初めて見たね。

「お前が直接開けなければいいんじゃね?」

 それからこいつは両手にパペットを着けっ放し。本当に気の毒だからこいつをしつこく喚んでる誰かさん、そろそろ諦めてくんねえかな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る