図書館にて

 立ち並ぶ巨大な本を前に小人族の男は途方に暮れていた。目当ての本はある植物学者の手記である。世界随一の規模を誇るこの図書館にならあると聞いて来たのだが、巨人族である彼の本は男には些か大き過ぎた。

「どうすればいいの」

 今のは俺じゃないぞと声のした方を見ると巨人族の少女が蹲っていた。否、棚を見ようと頑張っている。あそこは小人族の本棚。助け合えるかもしれない。一縷の望みを胸に、男は少女に向かって歩き出した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る