第7話 この魔王はめんどうだな~!!

 別の空間が抜けて俺と魔王は元の世界に帰ってきたのであった。


 元の世界に帰ると、地面に寝ているオリビアの姿が見えた。目をつぶっているのでまだ気絶しているのだろう。


 一方魔王の方は、相変わらず地面に這いつくばっていた。


 俺はどう声をかけていいかわからず、黙っていた。


 すると、魔王ドラヴァインは痛みが消えたのか立ち上がり俺の方を見てきた。


 そして、黙っている俺に声をかけてきた。


「おいお前、何を黙っていろのじゃ。誰のせいでこんなに苦しんでいると思っておる。声の一つくらいかけぬか。」


「す‥‥‥すみません。俺の能力によって召喚されたので、その‥‥‥悪いことしたなと思って‥‥‥声をかけられませんでした。」


 俺はたじたじになりながら言った。


「そうじゃのう。お前のせいでわしはこんな森の中に召喚されてしもうたんじゃし、このようないまいましい刻印が刻みこまれてしもうた」


 魔王ドラヴァインはお腹に刻まれている従属の刻印を俺に見せた。その時はいまいましそうな表情をしていた。


「も‥‥‥申し訳ございません。まさかガチャから魔王が排出されるなど考えもしておりませんでした。しかも従属の刻印付きだなんて‥‥‥!!」


「ふむ。その発言を聞く限りだと、お前はわしを召喚したかったわけじゃなさそうじゃな。となると、召喚したのはあのいまいましい発言をしていたものか」


 いまいましいものとは恐らくガチャポンのナビゲーションのことだろう。


 俺はガチャポンについてそこまで詳しくなく手探り状態だったので、ナビゲーションが原因ということにしておこうと考えた。


「はい、恐らくあの発言をしていた者が原因かと‥‥‥!」


「やはりか、あやつの正体を暴いたらただでは済まさんぞ!!」


 よかったどうやらナビゲーションが悪いと判断したようである。


 ナビゲーションにはいままでさんざんひどい目にあわされていたから、お返しだと思った。


「ところでお前のすぐ近くに倒れている女性は何者じゃ。もしかしてお前の恋人か!」


「なっ! こ‥‥‥恋人じゃあないですよ。この方とは旅を同行するだけの関係性ですよ」


「本当なのかのう。あやしいのう。」


 魔王ドラヴァインはまじまじと俺を見てきた。やりにくい相手だな~。


「ほ、本当ですよ」


「まあその言葉を今は信じておくかのう。ところで、わしは回復呪文も扱えるからその女を回復することもできるがどうする!?」


 にやにやしながらドラヴァインは俺に聞いてきた。


「ほ、本当ですか。ならこのドラヴァインを今すぐ回復してくれますか。」


「よいじゃろう。しかしそれには条件がある。」


「条件とは!?」


「この刻印を消し去ることじゃ」


「すみません。俺は刻印の消し方を存じあげていないので刻印を消せません。」


「くっ‥‥‥刻印をけしてもらおうと思っておったのに、しょうがないのう。では今のはなしにしておくか。」


「ちょっと待ってください。回復呪文を持っているのならオリビアさんを回復してください。」


「どうしようかのう。条件なしで回復呪文は使いたくはないのじゃがな~」


「じゃ‥‥‥じゃあ刻印を消す以外に何か自分にできることを言ってください。」


「うーむ。でもお前程度の力でわしにできることなどたかが知れてるしのう。う――――――ん!! 」


 しばらく悩んでいたが、考えがまとまったのか条件を言ってきた。


「では、わしに回復してください。お願いしますと土下座せよ。」


「えっ!! それだけで回復してくれるんですか。」


「お前にとってはそれだけかもしれんが、わしにとっては従属を敷いてきたものを土下座させるのはとてもいい気味なのじゃ」


「そうなんですね。では」


 俺はすぐさま土下座をした。それでドラヴァインは気分を良くしたのかこう言ってきたのである。


「よかろう。その女を回復させてやろう」


 すると、ドラヴァインはオリビアに近づき回復呪文を唱えた。少しして唱え終わりオリビアを回復させたのであった。


 回復したオリビアは目を覚ました。


 すると、目の前には俺とドラヴァインがいたので驚愕していたのである。


「こ‥‥‥このお方は一体!?」


「あっ! この方はドラヴァインさんです。オリビアさんを回復された方ですよ。」


 俺は目の前にいるのは魔王だと言えず、ごまかしながら紹介した。


「私を回復してくださった方だったのですか。失礼しました。回復していただきありがとうございます。」


「な~に。回復の一つや二つぐらいたやすいわ。なんせわしは魔王ドラヴァインなのじゃからな」


「えっ‥‥‥」


「あっ!!」


 オリビアは魔王と知り驚愕の顔をした。俺はまさかそんな簡単に打ち明けるなんて‥‥‥と思い唖然としていた。


「なんじゃ。何か悪い事でも言ったかのう」


 ええ、いまとんでもないことをいいましたよ。魔王なんて自分のことを簡単に打ち明かすなんて何を考えているんですか!?


「あ‥‥‥あなた‥‥‥あの魔王ドラヴァインなの‥‥‥そういえばうわさで聞いていた通りの背格好をしている‥‥‥嘘、なんで魔王がこんなところにいるの」


 オリビアは絶句していた。そりゃあいきなり目の前に魔王があらわれたら絶句するわな。


 オリビアの気持ちが痛いほどわかった。


 でも、この状況どう説明すればいいんだろう!? 俺はさらなる問題が生じてあたふたしていたのである。

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