第6話 次のガチャは魔王ガチャ!?

 「どうしよう! ガチャポンを引くか!?」


 モンスターコインを手に入れてガチャを引きたくて引きたくてしょうがない!!


 「でも‥‥‥ここで引いていいのかな!?」


 今は使わず違うところで使った方が当たりを引くかも!! その考えも出てきて、悩み中だ!


 腕を組みながら悩み、少し時間が経った。


 すると、ガチャを引きたいという思いが悩む前よりさらに強くなってやがる!


 やがて、その気持ちを抑えることはできずガチャを引くことを決めた。


「よし! ガチャを引くか」


 俺はモンスターコインを手に持ちながら、能力をつかうように強く念じた。


 すると、先ほどの声が聞こえてきたのである。


「いまあなたはモンスターコインを持っていますね。能力を使用しますか?」


 もちろんYesに決まっているだろ!!


 すると例の奇妙な音が聞こえてきた。


”ガチャ、ガチャ、ガチャを引こうぜ、G・T・Y・A・P・O・N、”ガチャポン”!!”


 目の前に再びガチャポンが現れたのだ。


 このガチャポンが現れた瞬間、違う空間にいるように感じた。


 だが、違う空間にいるかもしれないなど今はどうでもよい。それよりも早くガチャを引きたいという好奇心の方が強かった。


 俺は持っているモンスターコインをすぐさまガチャポンに入れてゆっくり回した。


 気持ちを込めて回すと、出口から大きなカプセルが出てきたのである。


 そのカプセルは俺の頭上に落ちてきたのだ!!


 「またこのパターンかよ‥‥‥。」


 何回も経験してパターンは把握していたので、消極的な言葉がでてきたのである。


 少しして、俺の頭上に落ちてきたカプセルが開かれ、周りは光に包みこまれた。


 そして光が消え去ると目の前にはなんと!! 女性があらわれたのである。


 その女性はまるで少女のように幼い顔と背格好をしていた。


 服は大きな襟のついたベルト付きの素敵なドレスの格好をしていたのである。


 胸の部分とスカートが薄暗い赤色をしていて、他の部分はすべて黒色に染まっていた。


「なんちゅう格好してやがるんだ!!」


 しかし、他にも目を引く部分があった。


 なんと、少女の背中には黒い小さな翼が生えていたのである。


 しかも口元をよく見てみると、歯が鋭利に尖っていたのである。まるで、牙のようであった。


 その2点とエレガントな格好を見て一つの種族を思い浮かべた。


「まるで、ヴァンパイアみたいだな」


 すると、少女が反応して話しかけてきた。


「おっ!! よくわしの種族をいいあてたな! お前の言う通りわしはヴァンパイアじゃ!」


 その少女は元気な声で、ヴァンパイアじゃと言ってきたのだ。


 俺が唖然としている中、突然”ガランガラン”というベルに似た音が鳴ったのである。


 すると、その音と共に例の声が聞こえてきた。


「おめでとうございま~す。あなたが今回、回したガチャポンはレアな魔王ガチャとなっております。つまり、そこにいる少女は魔王ということになります。 あなたはそこにいる魔王の盟主になる権利を得ました。」


「ま‥‥‥魔王ガチャだと‥‥‥しかもそこにいる少女が魔王なんて‥‥‥」


 俺は非常に驚いていた。だが、驚いていたのは俺一人だけではなかった。


「ちょ‥‥‥ちょっと待て‥‥‥わしの盟主になる権利をそこにいる小僧に与えるじゃと‥‥‥一体何を言っているのじゃ!?」


 魔王も驚いたようだ。無理はない突然ガチャポンで呼び出されて、使役されるかもしれないと思えば驚きくらい出てくるものだ。


「おい、小僧!! どういうことか説明してもらおうじゃないか!!」


 いけない魔王が怒っている。このままだと殺されちゃう!!


「こ‥‥‥これはガチャポンといって‥‥‥モンスターや装備品などが出てくるガチャとなっております。つまり‥‥‥あなたはこのガチャによって‥‥‥召喚され俺の指示を受けることと思われます‥‥‥」


「つまりお前の配下になるということか!!」


 魔王はとても怒っていた。そして何やら片腕をあげて、ぶつぶつと唱えていたのである。


「ふざけるなよ‥‥‥なぜわしがお前のような小僧に仕えねばならぬのじゃ‥‥‥!!」


 あげていた片腕の手から赤い小さな丸い球が現れたのだ。少ししてその赤い球から閃光のように辺りが赤い色でチカチカと輝き始めた。


「ちょ‥‥‥ちょっとやめてください! 俺はあなたを召喚したくて召喚したわけじゃ‥‥‥」


「うるさい御託はいい。今すぐ消し炭に成れ!!」


 魔王は俺が言い終わる前に怒鳴り声をあげながら、片手から出していた赤い球をこちらに投げてこようとしていたのである。


「ちょ‥‥‥ちょっと‥‥‥待って!!」


「く・ら・え~!!」


 魔王が赤い球を投げようとした。まずい本当に殺されちゃう!! 死ぬのを覚悟したその瞬間であった。


「ぐわああああ~~!! なんじゃこれは~~!!」


 魔王が突然悲鳴をあげた。よく見ると、顔や首元に血管のような黒い管みたいなものが現れたのである。


 その血管のようなものが現れた時から、ずっと叫び声をあげていて、激痛のあまりか魔王はその場に這いつくばっているようであった。


「い‥‥‥一体何が起きているんだ‥‥‥!?」


 俺が困惑した表情をしている時だった。再び例の声が聞こえてきた。


「魔王ドラヴァインさん、主人を殺そうなんて恐ろしい真似をしちゃだめですよ。あなたはガチャポンによって排出されたんです。そこにいる者の言うことは聞かなくちゃいけません。殺すなんてとんでもない!!」


「ふ‥‥‥ふざけおって‥‥‥一体わしになにをしたんじゃ!?」


「あなたには従属の刻印を刻みました。そのため、主人を殺めようとしたあなたには罰として激痛をおってもらいました。二度とこのようなことはしないでくださいね。でないとあなたが死んじゃいますよ!!」


「じゅ‥‥‥従属の刻印じゃと‥‥‥このわしにそのようなものをしたのか‥‥‥」


「はい、そうです。そして、ダイスケさん。あなたはこの魔王を使役する権利を与えられました。」


「魔王を使役する権利‥‥‥ひょっとして魔王ガチャは魔王を排出して使役できるガチャなのか!?」


「はいその通りです。そのため、このガチャは非常に珍しいガチャになっているのです。よくこのガチャを出すのに成功しましたね。」


「珍しくてもあんな恐ろしい魔王が近くにいたら、怖くてしょうがないよ‥‥‥」


「そう思われましても、こればっかりは運なのでご了承ください。」


「そ‥‥‥そんなあ~!!」


「それと、この魔王さんのことについて何も言ってなかったので、今から説明しますね!!」


 この魔王のことについては何も知らないので、ちゃんと聞こうとした。


「この魔王はドラヴァインと言います。この世界にいる十大魔王の内の一人です。」


「十大魔王‥‥‥!?」


「十大魔王とは、この世界で覇を唱えている10人の魔物の王になります。彼らは互いに戦いあうとほとんどの種族が滅亡する可能性があるため、戦わないように10人で魔物が統治する世界を分け合ったのです。そのことから10大魔王と呼ばれています。」


「なるほど‥‥‥この世界には10人の魔王がいることと、なぜ10大魔王と言われているのかはなんとなく理解した。」


「では、再びドラヴァインさんについて説明しますね。この魔王の種族はヴァンパイアです。そしてヴァンパイアを束ねる女王でもあります。統治している場所はここよりはるか北西にあるトラヴェイントという地域になります。」


「また、この方の実力は、他では例えられないほど強く、本気を出せば大陸を吹き飛ばすほどの実力を兼ね備えています。他にも人を惑わしたり、血液を吸収することでパワーアップすることもできます。」


 大陸を吹き飛ばすほど‥‥‥魔王ドラヴァインの実力を聞き恐ろしくなった。


「あと、この方には従属の儀式をすでに行っています。これは、主人には逆らえないようにする儀式で、もし破ろうと考えただけで、記された刻印によって全身に痛みが生じるようになります。今実際起きているように!!」


「じゃ‥‥‥じゃあ‥‥‥このドラヴァインは俺の言う通りに動くのか‥‥‥」


「すべて指示を行うのはダイスケさんの今の実力では難しいです。今の実力なら殺されないくらいですね」


 レベルが関係しているのかよ‥‥‥しかも殺されないくらいって‥‥‥つまり他の指示は難しいということか‥‥‥そんな!?


「ともかく、ダイスケさんは魔王ドラヴァインを使役する権利が与えられました。どのように扱うかはダイスケさんの自由です。ではこれにて私は失礼します。」


「え‥‥‥ちょ‥‥‥!?」

 

 すると、例の声が聞こえなくなり元の空間に戻った。魔王ドラヴァインも残されていた。


 これで消えるとか今後この魔王とどう付き合えばいいんだよ~! ふざけるな~!


 俺は不満が出ながら今後この魔王とどう付き合っていけばよいか新たな悩みの種ができたのであった。

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