面倒事に巻き込まれた姫君

「ど、どちら様ですか?」


いきなりやって来た少女に対し、そう尋ねる私。


「私の名はデイジー!!スヴァルド様に仕えていたリッチだ!!」


スヴァルド......てことは


「彼女が怒っているのって、私が原因ですよね?」

「だろうな」

「そりゃそうよぉ」

「ですね」


なるほど、私がスヴァルドさんの跡を継いだから、不満を持っているということですね。


うん、間違いなく面倒なことになりそうな予感がしますね。


そう思いながら、デイジーさんの方を見る私。


「魔王様の命令とはいえ、スヴァルド様を殺した男の婚約者を四天王にするなんて.......私は、絶対に認めない!!」


私の方を指差しながら、そう言うデイジーさん。


「言っておきますけど......私、勇者様のことなんて好きでも何でもないですからね」

「え?そうなのぉ?」


キョトンとした顔で、そう尋ねるマンドレイさん。


「自分がいかに偉いのかを、延々と言う男のどこに好きになる要素があるんですか?」

「確かにぃ、そうかもねぇ」


私の言葉に対し、納得した顔でそう言うマンドレイさん。


「そんなことを言って、許されるとでも思ってるの!!」


私の言葉を聞き、プンスカ怒った状態で、そう言うデイジーさん。


「デイジー。確かにルルーは勇者の婚約者だ。だが......」

「だが?」

「彼女には勇者に対する愛情は一欠片もない。むしろ、人間の姫君としていることに嫌気すら感じていた。だから」

「だから、魔王様の下に降った.....それで許せと?」


ドラドさんの言葉に対し、イラつき気味にそう言うデイジーさん。


「許せとは言わない。しかし」

「そんな言葉で、許せられるわけがない!!私は......スヴァルド様の仇を取る!!」


......これはあれですね。


話を聞き入れる態度ではないようですね。


というか、絶対決闘しそうな雰囲気ですよね。


「というわけで!!そこの人間!!私も決闘しろ!!」


あ、やっぱりこうなりましたか。


「あの.....魔王様の許可は」

「既に取ってある!!」

「あ、そうなんですね」


許可を取ってあるのなら、仕方ないですね。


「おいルルー、まさかとは思うが......デイジーと決闘をするつもりなのか?」

「魔王様から許可が出ているのなら、決闘した方がいいと思いまして」

「真面目か!!」


私の言葉に対し、そうツッコミを入れるドラドさん。


「ふん、人間風情が生意気なことを!!」

「確かに私は人間ですが、ちゃんと名前があります。そこはご了承ください」

「チッ......」


私がそう言うと、不機嫌そうにそう舌打ちをするデイジー。


かくして、私とデイジーさんの決闘が決まるのでした。

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