第2話:事の始まり
現実世界がこうなった原因はわからないが、こうなってしまった日は今でも覚えている。
突然人が消えたのは今から二年前の夏にさかのぼる。 二年前、俺はまだ高校生で二度目の夏休みに入る前の最後の授業に出ていた・・・・・。 授業と言っても定期試験も終わり、校長や生活指導の教師のありがたく長ったらしいお話が終わって、担任が来るまで教室で待機していた。
「そろそろ先生来るから起きとけよ、大和」
「うるせぇなぁ、こっちは徹夜で人類救ったんだから、それぐらいいいだろ?」
「また徹夜でゲームかよ、普段不真面目なくせにテストでは点数良いんだから不思議なもんだよなぁ」
「要領がいいんだよ俺は、まぁ態度が足引っ張ってんだろうけど」
「それわかってんだったら直したほうがいいんじゃないですかなぁ?」
「直したくても直せないものもあるんですよぉ、剣弥」
そんなあほらしくも楽しい会話を俺と【御剣 剣弥】していた。 剣弥ともう一人【神楽 茜】がいるがこの三人は小学校からの腐れ縁というやつだ。 関係性はそんなもんか。 そんな話をしていると、担任がやってきた。
「おっ、来たな。 大和、お前も起きとけよ」
そう言って剣弥は自分の席に戻っていく。 クラス委員でしっかりしていて成績は上位を常にキープ、周りから好かれていてまさしくリーダーとして生まれてきた、と言っても過言ではない。
担任の話を聞いていくうちに俺は再び睡魔に襲われる。 やっぱ徹夜でゲームはまずかったか? そんなことを考えながら俺は机に突っ伏す。
(あぁ~、眠っ。 瞼も重くなってきたなぁ)
少し眠っているとどこからともなく悲鳴やら絶叫やらいろいろ聞こえてきた。 眠りについて現実と夢が入り乱れている、そう考え俺は気にしなかったが、今にして思えばなぜこの時目を開けなかったのだろうか?
次に目を覚ましたのは、午後4時頃だった。
「ふぁ~、よく寝た・・・・・、って」
口を開けてあくびをしながら体を起こすと、すでに周りには人がいない。 周囲には散乱したプリントやぐちゃぐちゃになった机と椅子。 カバンだってそこらへんに放り出されているのもある。 今思えばこれは少し異常な事だろうが、当時の俺は頭も冴えておらず、まだ夢まどろみ状態だった。
「なんだよ・・・・・、起こしてくれたっていいだろうがよ」
俺は自分のカバンと課題をもって教室を出た。 教室の中の机と椅子や荷物は一切片付けずに。
しばらく歩いていると商店街が出てくる。 いつもこの時間になると、買い物に来ている親子連れや駄菓子屋やカードショップに群がる大人や子供たち。 でもその日は人の気配が一切なかった。
「あれ? 今日なんかあったっけ?」
ここでようやく俺は現状を認知しかけていた。 普通であれば誰もいないという現状にパニックを起こすものであるが、俺は違和感を感じたはいいが思考が追い付いていない状態だった。
(今日、この辺りでイベントは・・・・・ないな。 いやあったとしても普通店ほっぽっていくやつがいるか? 少なくとも誰か店番しているはずだろ? ・・・・・まさかな)
ここまで感じた違和感、そして考えたくもなかった一つの推理が当たってしまった事に愕然としてしまったのは、電車がホームに突っ込んでいる場面を見てしまったからだった。
「嘘だろ!! 電車が!!」
俺はその光景にショックを受けて駅のホームまで走った。 改札を通ろうにも反応しない。 俺は仕方なく駅員側の改札を通ってホームまで向かった。 煙をあげて倒れている電車、そして突然の停電。 そこでようやく俺は異常事態に気が付いた。 いや最悪のケースが当たってしまったというべきだろう。
「なんで、誰もいないんだ?」
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