第5話 分かち合う光

数ヶ月が経過し、紗月はマインドフルネス瞑想を生活の一部として取り入れていた。彼女の心は以前よりもずっと落ち着いており、周囲の人々との関係も改善されていた。学校の授業や友人との会話においても、以前より積極的に参加するようになり、その変化を自分自身でも感じていた。


マインドフルネスクラブの活動の一環として、学校での瞑想体験会を開くことになった。紗月は他のクラブメンバーと共に、このイベントの準備を進めていた。彼女は、自分の経験を通じて学んだことを他の生徒にも伝えたいと強く思っていた。


当日、多くの生徒が瞑想体験会に参加するために体育館に集まった。紗月は少し緊張しながらも、体験会の冒頭で自己紹介と瞑想の効果について話す役割を担った。


「こんにちは、私は紗月と言います。マインドフルネス瞑想に出会う前は、常に不安で何かと戦っているような毎日でした。でも、瞑想を始めてから、少しずつですが、心に平穏を感じるようになりました。今日はその素晴らしい経験を皆さんと分かち合いたいと思います。」


彼女の言葉に、聞いている生徒たちは真剣な表情を見せた。紗月と他のクラブメンバーは、参加者に基本的な呼吸法と瞬間の気づきについて指導した。


瞑想が終わった後、多くの生徒がリラックスした表情を浮かべていた。一人の生徒が紗月に近づいてきて、感謝の言葉を述べた。「今日の体験は本当に心が落ち着きました。これからも続けてみたいと思います。ありがとうございます。」


この言葉を聞いて、紗月は心からの喜びを感じた。自分が経験した変化を他人にも伝えることができたこと、そしてそれが誰かの役に立ったことを実感した瞬間だった。


紗月はその日の帰り道、星空を見上げながら、自分自身の成長と新たな始まりを感じていた。彼女の心の中には、これからも多くの人とその光を分かち合いたいという強い願いが満ち溢れていた。マインドフルネスとの出会いが、彼女の人生を明るい方向に導いてくれることを、紗月は確信していた。

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