第8話 【お勉強】

((勉強ですか?))


((ええ 私の知識はあまり多くないので、

他の方たちに教えて貰った方がいいでしょう

そこで勉強です。まずは言語を習得しましょう 私だけとしかコミュニケーションを取れないというのは不便でしょうから))


((そうですね。ミルさん負担になってしまいますし、でも言語を習得するというのはかなりの時間がかかってしまうのでは?))


((そうですね 少なくとも普通なら2年以上はかかってしまいます。ですが私は念話を使えるので、私と共に勉強をすれば早く言語を習得できるかもしれません。))


((....))


彼女は はっ となにかに気づいたように言った


((すみません 今すぐに元の世界に帰りたいですよね ...

言語を習得してる暇なんてないですよね...

わかりました 私が何とかしてみます

任せてください))


なぜ?

ああ 俺が沈黙してしまったせいか...


((え?

あ! 違うんですよ 僕なんかのために本当に色々やってくれるので感動して言葉を失ってしまっただけで...僕は今すぐに帰りたいだなんて思っていません。なのでこの世界言語をお教えていただけると嬉しいです))


これは彼女とは関係ない話だ。俺が自分で元の世界帰える方法を探さなくてはいけないのだ。

それなのに彼女はまた俺のために何かをしようとしていた...

とても嬉しいが優しすぎはしないだろうか?


((そうだったのですね。

それなら良かったです それでもなるべく早く

帰れるように頑張らないといけませんね))

彼女は明るい表情でそう言った。


((ではさっそく 勉強をしていきましょうか))


((はい お願いします))


最初は読み書きからだ

この世界の文字は64種類あってそれを組み合わせることにより、言葉として成り立たせているそうだ。一つ一つの文字は漢字とアルファベットの中間とったような形をしている。

文字は日本語と同じで読み方は変化しない。

例えば英語だとAをエーと呼ぶがAPPLEという羅列にした時はアップルに読み方が変わるが

しかこの世界の文字はAPPLEを

エーピーピーエルイー

というのだ

文法は基本的にSVO 主語 述語 目的語の順番で

成り立っている。

英語と同じだ。

日本語を扱える俺からするとこの世界の言葉はあまり難しくないのかもしれない

想像していたよりも早く習得出来るかもしれないな


((はい 今日はここまでです。

私が思った以上に理解が早くて驚きました。

この調子で行けば1年かからずマスターすることができそうですね。))


((いえ ミルさん教え方が上手だったからですよ))


((私は人に教えるのがあまり上手じゃない方だったのだと思っていましたが 案外才能があるのかもしれませんね))

彼女は自慢気な顔でそう言った。


((本当は元の世界の知識おかげな部分が多かったのだが黙っていた方がいいだろう))


((え? そうなんですか.....))


え? あ!

もしかして心の中で思っていたことが念話として相手に届いてしまったのか...俺は念話を

マスターなんてしていなかった...

彼女は落ち込んだ表情をしている

どうにかしなければ


((いえ さっきのはほんの冗談で 本当に

ミルさんのおかげだと思っていますよー

本当ですからね ははー))


((慰めてくれなくて結構です。

それより気をつけてくださいね

念話で自分の伝えたい事と思っている事を

ごちゃまぜにしてしまうと相手を傷つけたり

気まずくなってしまったりします。

...今のようにね...))

彼女はわざとらしくムッとした表情を浮かべていた


((...すみませんでした 反省しています))

申し訳なさそうに謝ると


彼女は笑って

((冗談ですから そんな申し訳なさそうにしないでくださいよ))

と言ってくれた


そんな会話を続けているとカレンが起きてきた

時刻はだいたい13時くらいだろうか

カレンはミルと会話をするがやはり俺には理解出来なかった。

会話が途切れるとミルが念話をしてきた

((カレンは冒険者という仕事をしています。

冒険者とは魔物を倒したり困っている人の手伝いをするなどの依頼を受けることによって

報酬を受け取ることが出来ます。

彼女はE~S級まである冒険者の中で

最高ランクのS級に位置しています。

そんなカレンに今から着いて行って戦いを

見学しにいってもらおうと思います。))


((わかりました でも外となると怖いですね

またワイルドベアのような敵に襲われるかも

しれないですし...))


((もちろん私も着いて行きますよ。戦えませんけど

でも、カレンはとっても強いので大丈夫ですよ

しかも剣だけではなくて魔法も使えるのです

))

ミルはエッヘンと両手の横腹に当てた


...魔法

この世界のは魔法があるのか...

たしか昨日も説明してくれていた時に魔法という言葉を聞いた気がする。


((この世界には魔法があるんですね!))


((当たり前です もしかしてヒカルさんの世界には魔法がなかったのですか?))


((ええ おとぎ話のようなもので

魔法はみんなの憧れでした))


((魔法がないというのは信じ難い話ですね。

私には考えられないです...))


ああ 夢が広がる 魔法が見られるなんて

俺も魔法を使えるのだろうか?

俺は今まで魔法を使えなかったから

やっぱり使えないのだろうか

使えないのだとしたら残念だが

まあ あまり期待しないでおこう


それにしても魔法か...楽しみだな






















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