なぎ

 すべてが終わることはない

 あたしたちはすべてを知らないのだから


 すべてが終わることはない

 わたしたちはまだ何も始めていないのだから


 さざ波が優しく罪を包み込む

 

 波しぶきが罪を消してくれる

 

 光が平等に与えられて


 心のなかに侵食していく


 わたしは姉の手を握って弔う


 あたしは妹の頭を掴んで海に伏せる


 すべてが凪になる


 これで死ねたのだろうか

 誰かに聞いてみたいものだ


 完

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

海に伏せる 犀川 よう @eowpihrfoiw

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画