第2話 シェアハウス

「おはようーござまーすぅ。春野先輩ー。」

なんで、最近の子はこうも甘ったるい声で

いちいち、挨拶なのに語尾を伸ばすんだろ。

イライラする。


「おはよう。今日もよろしくね。」

私は仕事で女を武器になんかしたくない。

そりぁ、お茶組みもやりますよ。

なら、安い茶葉でも美味しくなる入れ方を

とことん追求したもの。

あの子の入れるお茶ったら、、、。


ありさのせいでイラついてるんだわ。

全く、どうなってんだろ。


父が行方不明になって母は病院に入ったきり。

私は母方の祖母と暮らしてた。

祖母との暮らしは厄介者扱いだった。

家事の殆どは私の仕事になった。

祖母が亡くなって家は私の物になった。



縁側があって小さな庭もある、日本家屋の古い家だが、祖母の年齢もあり、使い勝手な良いリフォームはしてある。

ただ、女ひとりで暮らすには不用心な気がした。

子供の頃からの親友のなおみと行きつけのおばあちゃんの店で鯖味噌定食を頬張りながら

事情を話してみた。


なおみはさぞ良い事を思いたみたいに言った。

「ねぇ?いい事思いたよぉ。

シェアハウスにしなよ。

2階はさ。そしたら、泥棒も痴漢も入りにくいわよ。」


「あー、それね。考えたわよ。

だけどさ、知らない人と暮らすのって

それこそ怖いわよ。ムリムリ。」


「ふふん。そう言うと思ったわ。

大丈夫よ、わたし、わたしが一番目になろうじゃないの。

丁度、今の所でさ、捨て猫を飼ってるのがバレてさ、追い出されそうなのよ。

ロクノスケは恋人なのよね。離れるなんて無理だもん。ねっ、ロクノスケも一緒でもいいよね?」


「何よ、あんた決めてるじゃないのよ。

そこまで言われちゃ断れないわよ。

いいわよ、どーぞ、彼氏のロクノスケも一緒に。」


「ありがとう、あっこ。

あとの事は任せなさい。シェアハウスの住人募集は私がやるから。

家賃とかルールも決めなきゃね。

なんかさ、楽しいーっ!」

なおみははしゃいでる。


私はいつも、なおみの明るさに助けられていた。

でも、なおみっていつ出会ったんだっけ。






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