第6話 魔物
帝城に戻り、執務室にて待つとドアをノックしゼノが入ってきた。
「陛下にご報告します。都市バイエランに魔物の群れが襲撃。現在、在地の守備隊が奮戦しております。魔物襲撃の現在わかっている情報をまとめた資料がこちらになります」
ゼノが差し出す資料を、傍に控えるセイルが受け取りそれを俺に届ける。
魔物襲撃はゲームの頃にも良くあったものだ。ちまちま狩るより効率が良いし、都市の住民の忠誠度を上げることもできるイベントだ。
ただ、資料を読み解くとおかしな点があった。
「オークにゴブリン…ここらへんはよくあることだが、ゾンビにデュラハンなどか。デュラハンとは大物だな」
「はい。通常2〜3種類程度の魔物で構成されることが多いのですが、今回は種類が多く7種もおります…もしかしたら裏には何かいるのやもしれません」
「…魔族か」
ゼノは答えなかったが、実際魔族の特性や強さも判明していない。
同じく魔を冠する生き物として操る術があるのかもしれない。もし世界中の魔物を操れるとしたらかなりの脅威だ。
「何かあるにせよ援軍を出すしかあるまい。第一軍団は帝都防衛で動かせん。近衛騎士団を出す。レイナース卿に伝令を、俺も出るぞ。あとシリスも連れて行く」
何があるか分からない現状こっちも出せる最大戦力を出す。現地の様子も確かめたい。
俺の命を受け、セイルもゼノ動き始める。
帝城は一種の喧騒に包まれた。
出陣の準備を終えた面々を前にして俺は壇上に立つ。
本来こう言うことは緊張するのだが皇帝特性の補正で言葉がすらすらと出る。
「都市バイエランが魔物の襲撃に遭っている!魔物の数も種類も多く一筋縄ではいかないだろう!だが!帝国を犯す魔物の跳梁を許すわけにはいかない!諸君出陣だ!」
「「「「ハッ!!」」」」
帝都を出発し、俺の唯一誇れる白魔法で全員の馬にバフを付与し、都市バイエランを目指す。
駆けている中、杖に乗ったシリスが横に来た。
「カイン様。先行しても良い?」
流石にシリスも戦闘になることを分かってるからか、真剣な顔つきをしている。
俺が頷くと、シリスは高度を上げながら速度は増していった。
あっという間に見えなくなった。こういう時、魔法は便利だな。
都市に近づくにつれ、遠くから閃光とそれに遅れてドォォオオンと空気が振動する。
時折、聞こえる爆発音を目指し丘を越えると、煙と喧騒に塗れた都市バイエランが見えてきた。
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