第3話 特性
数多くの特性があるミズガルズ・フロンティアでは特性ごとのシナジー効果なども存在する。
代表なのが剣術と騎士道のシナジーによって生まれる「騎士王」
(ちなみに剣術と騎士道ではただの騎士では?と思われると思うが、ミズガルズ・フロンティアでは人々を集め国を興すというのがメインなのでプレイヤーにはデフォルトで「王」という特性が備わっている。俺の「皇帝」とはまた違う進化先と言える)
そして俺が選択した「美形」「カリスマ」という特性は人を集めるのに便利なのだ。人々を引き入れるにはいろいろと方法がある。人々の困りごと・クエストなどを解決し忠誠度をあげることで引き入れることが可能だ。ちなみに他の方法としてもっとも多いのは暴力による支配だ。クエストなどは手間が多く経験値は少ないことが多い。暴力による支配が彼らの維持費なども含め最も効率がいい。まぁもちろんデメリットも存在するが。
俺の「美形」「カリスマ」は人々を集めるのに特化した特性といえる。
人々とコミュニケーションを取ることで、簡単に忠誠度をあげることができ、多くの人を集めることが出来る。そう…今のように
「陛下。こちらの御召し物などはいかがでしょうか?」
「それよりもこちらの御召し物のほうがより陛下の魅力を引き立てるかと」
「陛下。午前のうちに決裁していただきたい書類のことなのですが…」
「陛下」
…
頭が疲れる。
これが「美形」「カリスマ」の特性のデメリットか…いや、皇帝という職権ゆえか…
結局昨日は寝て、今日起きたらこれだ。まだ寝ぼけているので勘弁してほしい。ゲームでは多数から話しかけられてもテキストチャットなのでそれぞれで目を通せた。だがこうも一遍に話しかけらると頭が追い付かない。
「陛下。とりあえず朝食になさるのがよろしいかと御召し物はこちらにいたしましょう。書類などは執務室に回しておきます」
さ、さすがだ…できる執事は違う。俺が頭を抱えている間にテキパキと指示を飛ばし、段取りを付けた。さながら敏腕指導者だ。皇帝いらなくね?とは思ってはいけない。
朝食を終え、11時前ごろにあらかたの書類仕事は終わった。初めはうまくできるか不安だったが、ゲームでも国家運営の経験と「皇帝」という特性の補正でうまく切り抜けられた。椅子に体重を預け少しリラックスする。
すると横に控えるセイルが、スっと紅茶を置いた。なんか高そうな雰囲気はする。飲んでみるが…うん。味なんてわからん。まぁそれでも紅茶を飲む動作も優雅に見えるよう補正してくれるのだから「皇帝」という特性様様だ。
「午後の予定はどうなさいますか?」
「そうだな…ひとまず情報を把握したいし彼らに会いたいな。午後、七星を集めてくれ」
「畏まりました」
執務室に保管されている報告書や統計資料などを適当に読み漁る。ゲームのころとあんま変わったことはないようだ。まぁゲームとして省略されていた部分などは大いにあったが、それでもまぁ当然そういうもんだよなという思いであった。
昼食後に玉座…はさすがにちょっと気恥ずかしかったので執務室に7人を集める。
「帝国七星。偉大なる皇帝陛下に挨拶を申し上げます」
7人が跪き、レイナースが全員を代表して挨拶をする。
帝国七星
帝国が誇る最高クラスの才能を持つ7人を纏めてそう呼ぶ。
グランドマスター アルフレッド・フォン・レイナース
大魔導士 シリス・マルカ
夜の短剣 セイル・ヴェスパー
帝国軍元帥 カリウス・バルト
宰相 ゼノ・ハーバー
錬金術師 ライナ・ローゼア
麗姫 ノエル・アルトネイ
こうやって目の前に揃うと迫力があるな。宝物のように感じ、いつまでも眺めていたい気持ちに駆られるが集めた手前、何も言わないわけにもいかない。
「みなよく来てくれた」
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