第二話 スマホ・携帯論争

最初は穏やかだったのだ。


美月が本を読んでいると、後ろで

「ねーねー、スマホって携帯って呼ぶ派?スマホって呼ぶ派?」とクラスの騒がしい子が話しているのが聞こえた。

「私はスマホかなぁ」

「俺は断然スマホだな」

スマホばっかじゃん

「まじ?携帯って家族全員読んでるからうちもそうだわ」

「わいはスマホだ」

「私、携帯だけど…」

意外と分かれてきた。

そう言ってる私自身は携帯派で、思い出したら家族がみんなそう呼んでいた。

「えぇ〜なになに?スマホか携帯かって?そんなん絶対携帯に決まってるやんか」

クラス一、いや、学校一といっても過言ではないような、こんがらがせマン『三垣くん』のご登場だ…

どんなしょうもない話題でも首を突っ込んできては、勝手に議論にして長引かせ、授業まで削ると…

「携帯って『持ち歩く』とかそういう意味があってただ単に『携帯電話』の略なわけではないんやで」

うっさい!今私の説明シーンなんやからさぁ、遮らんといてくれへんかなぁ?

で、授業を削るぐらい心ゆくまで議論ができる三垣くんを私は色んな意味で尊敬する。

だ け ど、尊敬はしても真似だけはしない。人に迷惑までかけて議論するなんて無茶苦茶やんか!そうやろ?

しかし、そんな私の胸の内なんかだ誰も知らずに議論は進む。

「スマホの意味って知ってる?スマホって、『スマートフォン』つまり『賢い電話』。スマホ自体の特徴を全部合わした名前やんか!『携帯』だけだったら、ハンカチとかもそうなると思うけど?」

売り言葉に買い言葉とはまさにその通りで三垣が喧嘩を売ると誰かが必ず買いに来る。それも三垣の凄さかもしれない。っていや、すごくはない!全然だめな才能じゃん…


ーーまぁ、ここからは予想していた通り授業の開始も延びて、結局三垣が推していた携帯が勝った。

ほんとにもう…授業が延びるのはいいけど険悪なムードは疲れるから勘弁して欲しい…


月曜日そうそう疲れ切って、クタクタな美月は、帰ってそうそうにおとーさんに聞いた。

「今日のプレゼンどうだった?」

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