第20話 鞍馬 狗巻のヒミツ①

「やっぱりそうか」


「やっぱりって…?」


「俺が急に神様が《視え》なくなったのかとも思ったけど、由佳ゆかにも《視え》ないなら、本当に神様がいなくなったんだな」


「…え? 俺にも《視え》なくなったって……狗巻いぬまきも神様が《視え》るの」


 狗巻は真剣な眼差しで由佳を見つつ、しっかりと頷いた。


「ああ。《視え》てる。俺もずっと《視え》てた」


「うそぉ~?!?!」


 由佳は絶叫した。


「こいつらだって《視え》てる」


 狗巻は自分の肩に乗っている鬼を指で突いた。

 狗巻の肩に乗っている鬼や式神は、落ちそうになって必死に狗巻にしがみついた。


「み、《視え》てるの…?」


「《視え》てる。というか、こいつらは俺の式神だ」


「俺の式神っ? どういうことっ?」


 由佳の頭はパニック寸前になった。


「この子たちは狗巻が操ってるのっ?」


「操ってるわけじゃない。こいつらはそれぞれ≪生きて≫いる。

 俺はこいつらに言うことを聞かせることができるだけだ」


 由佳が信じられないといった様子だったので、狗巻は自分が式神を使役する様子をみせることにした。


「全員、整列」


 狗巻がそういうと、式神たちは狗巻から下りて、狗巻の前に整列した。

 1列9人が9列に並んだ綺麗な整列だった。


「前にならえ」


 狗巻がそういうと、全員が一斉に前にならえをした。


「右向け、右」


 きびきびとした動きで全員が右を向いた。

 集団パフォーマンスのように、見ていて気持ちがよくなる一糸乱れぬ統率ぶりだった。


「前向け、前」


 そうして鬼や式神が元の隊列に戻ると狗巻は手で印を結び「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」と九字くじを切った。

 すると鬼と式神たちは「ポンッ」という音とともに煙に包まれ、その煙が晴れると人の姿を象かたどった型紙になっていた。


 狗巻が手を出すと型紙はてのひらに集まり、狗巻はそれらを束ねて胸ポケットにしまった。


「こうしておけばいつでもこいつらを呼び出せる」


 由佳はあんぐりと大口を開けて見入るしかできなかった。




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ついに狗巻の秘密を明らかにしてしまいました୧(˃◡˂)୨


今回のお話はどうでしたでしょうか?

ご意見ご感想などいただけますと幸いです。


そしてこの後、さらなるヒミツがあきらかになります。

デュフフww(意地の悪い笑


私の小説を読んでいただきまして、本当にありがとうございました。

皆さまに「面白い!」と思っていただけるよう頑張ります!

(๑•̀ㅂ•́)و✧

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