藁の哀しみ

Eternal-Heart

僕など居てはいけない存在なのだ

人の哀しみは、幾重にも交差し

決して交わる事はないのだ



どれだけ一生懸命考え、伝えた

なけなしの想いすら 所詮、口先だけのもの

大切な人の人生の前で、上滑りするだけ



すがるわらにすら なれない



無力感、無価値感、罪悪感、悲哀、諦念

僕に降り積もり、押し潰してゆく

僕という存在は、この世にいてはいけないのだ

命が苦しい ___



この世には、哀しみを抱えていない者もいる

しょせん人種が違うのだ

割り切るしかない



これまで どれだけ無力で、無価値な自分から

背を向け 逃がれてきた事だろう


何の役にも立たない、無価値な魂が

たったひとつだけ出来る事


「僕はここにいる」

か細い声で、宛もなく伝え続ける事



寄り添い、受け入れてくれる存在

人には、それさえあれば良い

その原動力さえあれば、人は生きていける



「僕はここにいる」

そんな事しか伝えられない

無力な自分を、哀しみが押し潰してゆく




「僕はここにいる」


こんな、しょうもない藁の存在を

覚えていてくれる人が、何処かにいるのなら


この世界に居てはいけない、自分という

藁の存在証明に なるのではないか

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