前三回は、なにげに連日更新ができていたが、なかなかずっとそうはいかない。もともとサボり癖があるから、小さいころの絵日記も継続してつけられた記憶がない。

 

 ただ、今回書けなかったのは、サボり癖のせいではなく、一週間ほど前に始めたココナラに出品した、小説作成のサービスに、二件のお申し込みをいただいけたのだ。

 嬉しい。

 文章を書くことでお金をいただけるなんて、夢のような話だ。自分の全てが肯定されているような気分になる。


 今回はその調べ物をしていて、エッセイにまで手が回らなかった。

 小説を書いているとき、途中で調べ物が必要になることはままあるが、調べ物をしてからでないと書き始めることができない小説を好んで書くことは少ない。書きたいシーンやテーマが先で、ストーリーは後から考えることが多いからだ。


 ある有名な作家の方が、なるべく自分の知らない世界の話を小説にしたい、という旨のお話をしていて、憧れはしたが、実際にやってみるととても大変だ。調べ物だけでこんなに大変なのに、これからこれを小説にする必要がある。もっと大変。

 だが、とても楽しい。

 自分の好きなことだけを書いているときも楽しいが、調べて得た情報をどう小説に落とし込むかを考えながらストーリーを考えるのはまた違った楽しさがある。調べ物だけでこれだけ楽しいのなら、小説にするときはもっと楽しいだろう。楽しみだ。


 ココナラはこれからも継続していく。昔から小説で生計を立てるのが夢だった。今回いただいた依頼がその一歩目であることを忘れず、まずは依頼者の方に喜んでいただける作品をつくりたい。そして、いつどんなご依頼が来ても応えられるよう、自身のライティングスキルを上げられるように、毎日少しでも小説を書きたい。

 これだけは、継続が苦手でも、サボり癖があっても、やめてはならないことだ。


 小説家に限らず、表現者にまつわる話というのは、漫画や小説でいくつか読んだ。特に好きだったものは、

 

 小説なら『私が大好きな小説家を殺すまで』(斜線堂有紀/メディアワークス文庫)

 漫画なら『左ききのエレン』(かっぴー・nifuni/集英社)


 の二作だ。

『私が大好きな小説家を殺すまで』は私が斜線堂有紀に出会うことができた一作だ。今でも覚えている。大学に行くまでの電車で読み、いっきに虜にされ、読み終えたその日から何日も余韻に浸っていた。

 全身の毛穴が開かれたような、背筋に電流が走るような、あの読後感はすさまじい。「記憶を消してもう一度読みたい小説は?」と聞かれたら、この作品を挙げる。

 

 劣等感、羨望、崇拝、畏怖……登場人物の色々な感情を追体験して、才能というものについて、そして自分の創作について考えた。「小説で殴る」「言葉で刺す」という表現はたまに聞くが、まさしく殴られた。刺された。ぜひ読んで、殴られ刺されてほしい。

 

 また、メディアワークス文庫から、ブラック斜線堂有紀を楽しめる作品があと二作(『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』『恋に至る病』)出ているので、そちらもぜひ。イラストもとても良い。


『左ききのエレン』は、漫画としての表現がとにかく前衛的だ。漫画をたくさん読む方ではないけれど、今まで見たことのないコマや、話の展開、シーンの切り替わり方をする。読んでいて非常にワクワクする作品だ。


 それだけでなく『才能とは何か』というテーマを支柱に、青春小説とお仕事小説という両面を兼ね備え、少年漫画らしい熱い展開も盛りだくさんだ。

 私が特に好きなのは、「バンクシーゲーム」だ。あそこには青春もジュブナイルも才能も、全てが詰まっている。

 こちらもぜひ読んでほしい。すでに完結しているから手を出しやすいはずだ。


 最近気になっているのは『芥の死に際』という漫画だ。試し読みで一話だけ読んだが、とても面白かった。主人公の劣等感や焦燥感や絶望感には、私も覚えがある。小説を書き始めてから今まで、ずっと抱えてきたものだ。


 払拭できることはきっと永遠にないのだろう。たとえ小説家になれても、小説で生計を立てれらるようになっても。その点、『芥の死に際』の主人公がどのように進んでいくか、とても興味がある。


 書いていて気づいたのは、表現者は誰しも、苦しんでいるということだ。『私が大好きな小説家を殺すまで』の遙川も梓も、『左ききのエレン』のエレンも、『芥の死に際』の芥も。これを読んでいる人にも。表現をすることの苦しみと、表現できないことの苦しみに。

 

 この苦しみに意味を見つけられたら、きっと救われる。私はそこを目指している。いつかその機会に恵まれたとき、十全に応えられるよう、表現が鈍らないように、文章を書き、読み続けている。

 小説で生計を立てるのが夢なら、苦しみの意味を見つけるのは希望だ。

 

 追記

 同期がプロポーズに成功したらしい。末永く、お幸せに。

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