第22話 巫女、帰宅

「はい、ヅラさん。やってみます」と、リアンノン。

「じゃあ決まり、リアンノンちゃんは今から神々への手紙書き、ヅラさんは鷹を呼んでくる準備を!」と、12使徒の中での残りの一人・バーナードが言ってにこりと笑った。

「リアンノンちゃん、手紙が出来たら一度私に見せてね」と、スマローコフが言った。

「分かりました」と言って、リアンノンが自室に戻った。


             *


「待たせてゴメン、セレス!!」と、草原の花畑の丘に、ゼルフィーネとリゼティーナが駆けて来た。

 時はもうすでに夕暮れに近かった。

『去年よりは時間がかかったわね』と、セレス。

「そうね、そうなのよ、セレス。今年は救済を求める人が、去年の1・5倍はいたわ!!」と、姉のリゼティーナ。

「セレス、寒くなかった・・・??と言いたいけど、ドラゴンの表皮は固くて寒さは跳ね返すわね」と、ゼルフィーネ。

『あら、この美しい緑色のうろこを、表皮なんて呼んでほしくないわ』と、セレスが口から少し火を吐いて言った。

「ゴメン、ゴメン!」と言って、ゼルフィーネが笑う。

「それじゃ、帰りも頼んだわ、セレス」と、リゼティーナが言った。

 3人の巫女たちは、こうして帰路についたのだった。

 夕陽をバックに、竜は飛翔した。


             *


「お、セレス殿が帰って来た!」と、ヅラが表に出て行った。遠くに竜の影がちらっと見えたのだ。

「リアン、リゼティーナさんたちが帰って来たぞ!!」と、シルウェステル。

「お姉ちゃん、一緒に出迎えに行きましょうよ!!」と、リアンノンがヘレンに行った。

「リアン、手紙は書けたのか?」と、ハインミュラー。

「まだなのよ、お兄ちゃん!さっきまで文言考えてたんだけどね!明日完成させるわ!」

「そうか、うんうん」と、長兄のロイが頷く。

 その様子を、ちらりとヅラがリアンノンを見やる。

(リアンノンちゃんは、シルウェステルさんのもの・・・・)と、ヅラは心中思った。

 5分もしないうちに、竜の影は大きくなり、神殿で待っていた者たちみんなが手を振って出迎えたのであった。


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