2通目

 2通目

 https://kakuyomu.jp/works/16818093075168509858/episodes/16818093076420841804

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『さようなら』


 その一言と、毒リンゴが1個届けられた。


 その病室に。



 本当に、毒リンゴだったのか どうかは わからない。


 誰も食べていないし。

 誰も食べようとしない。 


 けれども、

 毒々しく 紅く

 毒々しく 香り

 毒々しいまでに 朽ちないでいた。


 その リンゴ。


 今でも、

 そのリンゴは 病室で……。 












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 『さようなら』


 それだけ書いて、筆を置いた。


 本当は、返事を書くことすらイヤだったけど。

「何も返さずにいると、アツシのことだから。また手紙くるよ」、って、友人に言われて。ケイは、しぶしぶ返事を出すことにした。


 言いたいことは たくさんある。

 けれども、

 例え そのすべての言葉が拒絶を意味するものであったとしても、

 アツシは喜ぶであろう。


 ケイが伝えたいことは、伝わらない。


 だから、

 一言だけ、選んだ。


 その一言に託した。








 ――もう、オレのことは放っておいてくれ。


 切実な思いを、その一言に込めて。


 
















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アナタの元へ 〜Letter〜 結音(Yuine) @midsummer-violet

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